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【ウェブ限定】静岡県知事選・大村慎一氏出馬記者会見全文 リニア「責任持って解決」/浜松新球場「市民要望踏まえる」

 川勝平太知事の辞職に伴う静岡県知事選(5月9日告示、26日投開票)への出馬を表明している元総務官僚で元静岡県副知事の大村慎一氏(60)の12日の記者会見でのやりとりは次の通り。

静岡県知事選出馬の記者会見を行う大村慎一氏=12日午後、静岡市葵区
静岡県知事選出馬の記者会見を行う大村慎一氏=12日午後、静岡市葵区


【出馬動機】
 川勝平太知事が急きょ辞任され、混乱とさまざまな分断や対立がある県政の現状に大変に危機感を持ち、オール静岡で課題を解決して、ふるさとの元気で明るい未来をつくっていきたいという思いで決断した。人生を懸けて県政の立て直しを県民とともにオール静岡で取り組む決意だ。
 今の県政には県民のために行うべきさまざまな施策、それに対する課題がある。分断や対立、たとえば県と市町、他県、国との連携とか、1人でものごとの解決は難しい。基本的な姿勢として、ネットワークを作って、連携協力の中で仕事を進める。他県ともそうだし、日本自体が激動する国際社会の中で、連携してお互いの力を高め合いながら新たな課題に取り組む姿勢が現代の基本だ。対話と実行ということで、さまざまな関係者としっかり対話しながら実行し、課題を解決していく。ポテンシャルの大きな静岡県の地をより豊かな未来に導いていく。そういう姿勢で臨みたい。

【人間像】
 私がどういう人間かについて話したい。私は静岡市の生まれで、小学校に入る前には浜松市に住んでいたこともある。昔の舞阪町弁天島(現浜松市)。ハマグリがわんさか採れて、祖父が住んでいたが、ボートで出ると浜名湖の夕日を見て、100万ドルの夜景だと言って自慢されたのを覚えている。今の浜名湖はアサリすら採れなくなってしまった。風光明媚(めいび)な浜名湖を取り戻し、海外からも観光客を呼び戻したい。静岡の観光を盛り上げたい。伊豆にしても静岡にしてもすばらしい観光資源がある。全県で盛り上げたい。観光地が一つ一つになっているのも課題。観光こそ連携協力で大きな集客をつくることが非常に重要だと思っている。
 母は由比町(現静岡市)出身。いとこがミカン農家をやっていた。親戚は富士、富士宮、沼津、祖母は沼津の出身。もう1人の祖母は吉田町出身。私のDNAの中にもオール静岡があると思っている。

【政策】
 政策について、時間のない中で用意した。今日は考えの入り口について話をしたい。きょう会見したのは先日、県庁前で出馬の決意を固めたと話をしたが、そのときに改めて出馬についてきちんと考えを話したいと言ったので、約束を果たすという意味がある。川勝知事の急な辞任があったので、走りながら準備している。
 生まれ育った静岡県のために働くという姿勢で臨みたい。県政の課題解決に人生を賭して全力を尽くして取り組む。1人の力ではとてもできない。オール静岡で取り組みたい。特定の政党、団体、もちろん推薦は無所属なのでたくさんいただきたいが、オール静岡というのは県民の皆さま一人一人と取り組みたいという意味合いだ。強く元気で温かい10プラス1の基本政策ということで項目を示した。
 具体的な政策は、詰めているところで、ある程度用意はしている。きょうはそこまでは話はしないが、10の基本政策の中で防災と危機管理は非常に重要。昨日までいくつかの市町に行ったが、やはり防災は強い問題意識が各市町にある。能登半島地震が起きて大変に石川県の能登の皆さんが苦しんでいる。石川県に友人もいて、大変苦しんでいる。静岡にも伊豆半島がある。防災について昔から静岡県は危機感がある。しっかりと取り組みたい。基盤のしっかりした防災に強い静岡県が必要だ。
 経済にしても、新たに活性化してイノベーションをしていく。県民の所得を増やしていく。一生懸命働いている勤労者が、未来に向かって誰もが希望を持てる力強い静岡経済を取り戻していくことが必要。
 子育て支援、医療、福祉も非常に重要。しっかり取り組む。教育は昔、静岡県はモデル的な教育県と言われた。秋田県の人から静岡県の教育を学んで秋田モデルをつくったと言われた。それぐらいのモデル県だ。人材育成こそが未来の力。
 農林水産業は、農協の皆さんとも話をして、茶農家とも話をしたが、静岡県は豊かな農林水産の資源がある。まだまだ頑張れる。もうかる農業にもできる。後継者も全国から来てもらえばいい。力強い農業にしたい。
 総務省、昔の自治省で、北海道札幌市、岐阜県、鳥取県、福岡県北九州市で仕事をしてきた。全国に素晴らしい観光資源があるが、静岡の観光資源は世界的なものがある。ただ、一つずつをもっと束ねて大きくしていく、そういう観光が必要だと思っている。連携協力だ。
 人口減少。残念ながら静岡県の人口も減っている。しかし、地の利を生かしてもっとできることがある。地域おこし協力隊は全国で1万人を目指して頑張っているが、その企画立案、実行を担当していた。総務省で地域力創造審議官というのをやっていたので、静岡県でもぜひ地域力を創造したい。
 スポーツ、文化、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)もしっかり頑張っていきたい。特にスポーツ、文化は素晴らしい資源がある。しっかり伸ばしたい。
 最後にトップセールス。なかなかこれまでできていなかったところなので、私自身がさまざまな場に出かけて行って、静岡県のPR、そして企業誘致を頑張っていきたい。私の県政は、繰り返しになるが、対話と実行ということで取り組んでいきたい。私の目指す県政に一緒に取り組んでいただきたい。私に力を与えてもらって仕事をさせていただきたい。

【一問一答】
 ―本日会見した理由は。
 急きょの会見になったことはおわびする。川勝知事の突然の辞意表明だったので私もいろいろ考えていたが、まだ出馬表明から短期間。先日、改めて話すと言ったが、準備を日々、進めているところだ。そういう中で、ようやくここまでのところは話ができるということになったので、早く一度会見することを約束した。準備が整ったので今日になった。
 ―リニア中央新幹線に対する立場は。
 私が責任を持って解決したい。これまでさまざまな課題、水の問題、環境の問題、土砂の問題が言われていた。その中で、いろいろな議論の積み上げがあり、ここまで来ている。きちんと改めて確認し、点検し、流域市町の意見、関係者の意見をしっかりうかがって、その上で力強く手を携えて進めることが重要だと思う。昨日まで回って大井川流域の市町の皆さんとも話をする機会ができた。しっかりと地元の意見を聞いてほしい、そういう場を設けてほしいということがあった。これは決してリニアについてだけではない。さまざまな地域の課題についてしっかり聞いていただきたい、そういった場を作ってほしいということがあった。島田市の染谷絹代市長からは年1回でいいからということだったが、必ず各市町との対話の場をつくると約束する。それが私が目指す県政だ。
 ―連合静岡が鈴木康友前浜松市長を支援するという報道があるが。
 報道ベースの話なのでまだどうなるか分からない。私は無所属で出馬することを決めている。オール静岡なので、連合ももちろん、ほかの団体や政党からもいただける推薦があれば、いただきたい。連合は労働者の団体。私も公務員だったので、総務省で公務員部長という仕事をしていた。全国で働く地方公務員の労働環境をいかに整えるか。非正規職員の地方公務員もいる。会計年度任用職員の皆さまの処遇をいかに改善するかということに取り組んできた。期末手当、勤勉手当が実はなかったが、私は公務員部長のときに期末手当を非正規公務員に制度化する取り組みをした。1500億円の予算を用意した。労働環境の整備に取り組んできた。しっかりと訴えていきたい。
 ー連合静岡に関する受け止めを改めて。自民から推薦を得られるか。
 副知事時代から鈴木康友前浜松市長はよく知っているが、出馬するかどうか、連合静岡が推薦するか、まだ報道だけなので、事実関係について話す立場にはない。ただ、繰り返しになるが、私が目指すオール静岡は、連合静岡からも自民党からも、推薦をいただけるなら推していただきたい。一方で、政党、団体だけでなく、県民一人一人からの、県政を発展させたいという熱意でもあるので、どの政党、団体ということに一喜一憂せずしっかり取り組みたい。自民党からも(推薦を)いただけると思っている。
 ー推薦をもらっている団体はあるか。今の活動のベースは。
 正式には推薦状はまだない。ただ、短期間だが話している中では、農業関係の団体は推薦をいただけるのではないかと思っている。農業関係と言っても農協からいろいろな個別の農業関係団体があるが、そういったところはいただけると期待している。
 県で一緒に働いていた仲間や、高校時代の友人も(会場に)来ている。私のこれまで歩んできた人生の中で一緒に取り組んできてくれた仲間が、短期間の状況だが支えてくれている。選挙なのでこれから組織態勢はしっかり整えていかないといけない。鋭意、準備している。今のところは仲間が支えてくれている。
 ―政党、団体への支援要請は。
 今日この会見の後、推薦のお願いに行く。まだ正式な会見をしていなかったので推薦をお願いするにしてはどうかと思っていたこともある。
 ー浜松市の県営野球場への考えは。
 非常に重要な課題だと思っている。しっかりと新しい球場を造っていく必要がある。浜松市民の要望を受けながら、浜松市長や財界、市民の意見も踏まえ、手を携えて新しい球場を造っていく。
 ―どのような形で造っていくか。
 さまざまな意見がある。浜松で望んでいる形という一つの方向性もある。その中でコストや手法の問題もある。私が培ってきたノウハウを使って、今の方向性の中でどうしていくか、これを解決していきたい。どの方向性がいいかについてはまずこれから意見を伺ってきちんとしていきたい。
 ー具体的にやりたいことは。
 重点を置きたい中で防災、危機管理、教育、経済の活性化についてはぜひやっていきたい。スポーツ、文化も教育。防災で言えば、平時からの準備が重要。消防庁の国民保護防災部長もやっていた。防災危機管理はプロの1人。静岡県は防災先進県と言ってきたが、他県で実際の災害が起きているので、立て直さないといけないことがたくさんある。教育もしっかりやっていく。その中でスポーツ、文化をいかに楽しむかだけでなく、ビジネス、産業の柱としたい。
 浜松の野球場は県でいろいろな議論がされているので、それはちゃんと踏まえないといけないが、浜松市民の要望がかなりしっかりとあると思っているので、その点はきっちり踏まえて実現できるようにするにはどうすればいいかということを、私の行政課題の解決能力を使って全力で取り組みたい。極めて重要な課題だ。

いい茶0

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