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劇団四季「キャッツ」・グリザベラ役の木村智秋 初見と今「違う感動」 7月17日から静岡

 7月17日に劇団四季ミュージカル「キャッツ」ロングラン公演(静岡新聞社・静岡放送など主催)が静岡市民文化会館で開幕する。静岡公演は10年ぶり3回目。2月に同市で開かれた製作発表会で劇中に登場する猫「グリザベラ」に扮(ふん)して劇中歌を披露した俳優木村智秋が、1983年11月から続く四季の看板演目と自身の関わりを語った。「詞の深さは年を重ねてから理解できた物がたくさんある」と話す木村智秋=静岡市駿河区
 韓国の大学院を休学し2007年、四季に入団した。ピアノを学んでいたが、幼少期からの夢だったミュージカルへの1年限りの挑戦を決意した。劇団内の期末試験に「これで駄目だったら辞める」覚悟で臨んだところ、四季創立者で演出家の浅利慶太(1933~2018年)の目に留まり、グリザベラ役に抜てきされた。
 以後、長年にわたりグリザベラを演じ続けてきた。「当初は若手だったのに、今では自分が若手を引っ張る立場です」と笑う。「キャッツ」に登場する24匹のネコの1匹グリザベラ。製作発表会で歌声を披露した=静岡市葵区(写真は共に写真部・小糸恵介)
 老いて美貌を失い惨めな生活を送るグリザベラが、輝かしい思い出と現在の悲哀、明日への願いを歌い上げる「メモリー」はキャッツ屈指の名場面だ。「全世界の誰もが知る曲だが、英語詞と和訳詞は内容が違う。強調する場所も異なる」という。「音楽として強調すべきところでも、和訳詞でそうすると響きがおかしくなる。詞を大切にすることを意識して歌っている」
 40年超上演が続くキャッツは演出、振り付け、曲にブラッシュアップが加えられることもあった。「十数年前に初めて見た時と今では、受け取る感動が全く違う。メッセージの響きも変わった」。自身も進化をいとわず役柄に向き合ってきた。「舞台は生きもの。ライブだから」
 俳優が演技に専念できる四季の環境を「恵まれている」と認識する。「劇団によっては役者が営業したり、広報をやったりする。でも、ここでは芝居や歌に集中できる」。向上心を絶やさず、常に質の高い演技を追求する。
 (教育文化部・マコーリー碧水)

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