テーマ : 編集部セレクト

東南アジアで企業のマッチング強化 静岡県内金融機関 進出需要一巡、課題解決後押し

 新型コロナウイルス禍に途絶えていた海外との交流が徐々に再開される中、静岡県内の金融機関が東南アジアでのマッチング強化に力を入れている。現地では輸送機器関連を中心にサプライチェーン(供給網)の整備が進み、周辺国との物流も活発化。一方で、資材価格の高騰や人手不足などの影響も出始め、各金融機関は企業同士を結びながら課題解決を後押しする。

4年ぶりに開催したインドネシア静友会のセミナー=2月下旬
4年ぶりに開催したインドネシア静友会のセミナー=2月下旬

 静岡銀行は2月下旬、インドネシアとタイを4年ぶりに視察。両国の現地法人によるネットワーク「静友会」のメンバーが集い、人的資源や人事・組織戦略をテーマにしたセミナーを通じて研さん、交流を図った。滝和彦常務執行役員はインドネシアについて「国の成長を含めて重要性をあらためて感じた」とし、地元銀行と連携しながら取引先の事業拡大支援に力を入れる考えを強調した。
 浜松いわた信用金庫は、タイ・バンコク駐在員事務所を開設してから今年で10年。現地に拠点を構える取引先企業は約100社に上り、山本大介所長は「新規進出の需要はある程度一巡した」と語る。今後は国内外の各社をつなぐマッチングに重点を置く方針で、2月に現地で開催した記念懇親会では現地法人や日本の親会社の関係者が顔を合わせて交流を深めた。
 大手自動車メーカーのサプライチェーンとして各国から企業進出が続いた約10年前よりも人件費は上がり、価格競争も激しさを増す。円安の逆風に加えて建設費の高騰、人材不足が広がる一方、山本所長は「周辺国へのハブ的な機能は強い」とタイの優位性を指摘する。省力化の設備投資など課題解決に向けた伴走支援も強化する考えだ。
 しずおか焼津信用金庫も2月に取引先企業の子会社などバンコクの4社を訪れた。資金調達や言葉の壁など課題はあるものの、高速道路や空港などのインフラ整備が活発化するなど商機も多いという。現地では在タイ日本大使館も訪れ、進出する中小企業への支援策などの説明を受けた。
 (経済部・金野真仁)

いい茶0

編集部セレクトの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞