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大自在(3月25日)新入幕優勝

 総合スーパー「ユニー」は2022年11月、店舗従業員の髪の色を自由化した。実施に当たり「髪色を派手にする場合は店で一番元気なあいさつと好印象な接客を心がける」というルールも設けた。
 「一人一人の個性を大切に、働きやすい環境をつくっていく」ためという。1年たって調べると、従業員の7割以上が肯定的に受け止め、51%が黒色以外の髪で働いていた。自由な色の中で「派手髪」は20%。
 4月の入社式を前に髪形、髪の色を変えて心機一転という若者もいるだろう。髪形の多様性と対極にあるのが角界か。関取の髷[まげ]はその形から大銀杏[おおいちょう]と呼ばれる。明治政府は1871(明治4)年に旧弊打破の一環として散髪脱刀令を出したが、力士は特例として髷を残すことになった。
 力士の髷は各相撲部屋に所属する床山[とこやま]が結う。大銀杏は神聖かつ強さの証し、だけではない。戦前から歴代横綱の大銀杏を結った元床山の佐々木清養さんは見習いの時、髷は力士の頭を守ると教えられ、床山の責任を自覚したと語った(小林照幸著「床山と横綱」)。
 大相撲春場所は新入幕の尊[たける]富士が初日から11連勝に続き110年ぶりの新入幕優勝の快挙を成し遂げた。入幕2場所目の大の里も快進撃し土俵を沸かせた。10日目、丁髷[ちょんまげ]姿の尊富士、ざんばら髪の大の里の取組は若手台頭を強く印象づけた。
 2人の大器の凜々[りり]しい大銀杏姿が楽しみだ。「いま強くなる稽古と、3年先に強くなるための稽古の両方をしなくてはならない」と言ったのは第58代横綱千代の富士。箴言[しんげん]を新社会人に伝えたい。

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