テーマ : 編集部セレクト

歯ごたえ独特「ゴム焼きそば」 懐かしい三島の味、飲食店が再現

 かつて三島市広小路町で親しまれた老舗店「一福」の焼きそばを再現しようと、市内の飲食3店舗が連携して商品開発に乗り出した。一福が閉店した10年前まで多くの地元住民が通った懐かしの一品は、歯ごたえが独特の通称「ゴム焼きそば」。7月1日から同市の楽寿園で販売を開始する予定で、レシピをたどりながら本物に近づけようと奮闘中だ。

一福のゴム焼きそばを目指して試行錯誤を重ねる関係者=三島市の楽寿園
一福のゴム焼きそばを目指して試行錯誤を重ねる関係者=三島市の楽寿園

 一福は約60年前から夫婦2人で営業を続け、名物の大判焼きとともに売り出す焼きそばが下校中の学生らに大人気だった。弾力のある焼きそばに備え付けのソースで自由に味付けし、好みに応じて肉や目玉焼きなどをトッピング。店主だった渡部正昭さん(79)は「特に高校生がたくさん食べに来てくれた」と思い返すが、年齢には勝てず惜しまれながら店を閉じた。
 そんな“青春の味”を追い求め、市内の居酒屋、おでん屋など3店舗の店主らが「一福焼きそば」の再現を思い立った。メンバーの成川尊裕さん(41)も、学生時代に何度も食べた思い出の一品。周囲からの「また食べたい」という声に後押しされ、渡部さんから作り方の指導を受けて調理を開始した。
 一福が注文していた製麺所は既になく、函南町の麺工房で当時に近い麺を開発。麺の太さや蒸し方も調節しながら、試行錯誤を重ねて完成を目指している。
 試食した渡部さんは「味はまずまず。近づいていると思う」と語り、「若い人がもう一度食べたいと言ってくるのがうれしい」と笑顔を見せた。1日の販売開始に向けて「良い感じの焼きそばに仕上がりそう」という成川さん。「今後もお客の反応を見ながら、少しずつでも改良を加えていきたい」と語る。

いい茶0

編集部セレクトの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞