あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 編集部セレクト

大自在(3月14日)大阪万博

 2025年大阪・関西万博は準備の遅れや経費の膨張が問題視され、計画変更を求める声も上がっているが、アジア初の万博が大阪で開幕したのは1970年のきょう3月14日だった。
 15日から一般公開。183日間の開催期間中、入場者は約6422万人を数えた。64年の東京五輪に続く国家プロジェクトとして、経済大国の仲間入りをした日本をアピールした。
 展示の目玉になったのは米国のアポロ12号が持ち帰った「月の石」。後に実用化されたワイヤレス電話や動く歩道、電気自動車なども「未来の技術」として注目された。道路整備など関連を含め1兆円近くを投じたが、4兆数千億円の経済効果があったとも言われる。
 もっとも、このころ高度経済成長には陰りが見え、60年代後半に年率10%を超えた実質経済成長率は70年代に入ると急落。全国各地で公害が深刻化し、反対運動が展開された。万博のテーマに掲げた「人類の進歩と調和」が皮肉にも聞こえる。
 来年の万博は後年、どう位置づけられるだろう。ことしの春闘は大手企業が軒並み高水準の賃上げを回答している。これが中小企業に波及して消費が活発化し、デフレを脱却、万博が「失われた30年」の終焉[しゅうえん]を告げた―となれば幸いだが、どうか。
 思えば何年も前から、大企業の内部留保が増大する一方で賃金が上がらないとの批判があった。先延ばししてきた宿題にようやく手が付いたようにも映る。春闘の活況も一度きりでは経済の好循環につながらない。流れを持続できるかどうかで万博の見方も変わりそうだ。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

編集部セレクトの記事一覧

他の追っかけを読む