古希スケーター、バズる 元エンジニアの粕谷さん(浜松) SNS動画再生、1カ月で6000回超
若者が楽しむことが多いスケートボードに古希を迎えてなお、挑戦し続ける「スーパーおじいさん」がいる。大手バイクメーカーの元エンジニアの粕谷泰治さん(70)=浜松市中央区=は定年退職後に出発したバイクの世界旅がアクシデントで中断を余儀なくされ、67歳でスケボーを本格的に始めた。転んで骨折してもあきらめず、1月下旬に70歳の誕生日とともに滑走の様子を動画でSNSに投稿すると、1カ月もたたないうちに再生回数が6千を超え、若者たちから注目を集める。
2月下旬、同区の屋内スケートボード場「ヌートリアスケートパーク」で高さ約2メートルの斜面を何度も滑り降り、ターンして汗を拭う粕谷さん。「乗っていると自分が大きくなった感じがする」と魅力を語った。
バイク好きで、現役時代は国際ライセンスを取得、耐久レースにも出場した。退職後の2019年にバイクでユーラシア大陸横断の旅に出たが、中央アジアを抜けそうなとき、愛車が故障。数カ月後に旅を再開しようとすると今度は新型コロナの感染流行が阻んだ。そんな折、自宅で見つけたのがほこりをかぶったスケートボード。20代で買ったが、ほとんど乗らなかった。思いつきでヌートリアに向かった。
粕谷さんは積極的だった。転んで体を強打しても、パークに通い続けた。肩の骨は2回折れた。「しょぼくれた年寄りにはなりたくない」。風を切り、バイクレースに励んだ意地で子どもに交じって練習し、技も習得した。
同パークの店長で週に100人近い小学生スケーターを指導する吉田和将さん(29)は「年長スケーターでも40、50代。高齢でも挑戦し続けられるスケボーの可能性の大きさをあらためて感じた」と語る。
粕谷さんは「スケボーを乗りこなすのは難しいし、危険もある。だからこそ楽しい」と強調する。おわん型の「ボウル」がある各地のパークを巡るのが今の目標だ。
(浜松総局・松浦直希)