パラ競泳・鈴木(聖隷クリストファー高出)パリ代表内定 富士で選考会兼レース
パリ・パラリンピック競泳の代表選考会を兼ねた日本パラ水泳春季チャレンジレース第1日は9日、静岡県富士水泳場で行われ、男子50メートル自由形(運動機能障害S4)で東京パラリンピック金メダリストの鈴木孝幸(ゴールドウイン、聖隷クリストファー高出)が37秒86で派遣A基準記録を突破し、代表に内定した。女子100メートル平泳ぎ(知的障害)で芹沢美希香(宮前ドルフィン、沼津市出身)は1分17秒38で派遣B基準記録を突破した。派遣B突破者は出場配分枠を踏まえた選考委員会を経て代表に内定する。
進化続ける37歳 6大会連続の貫禄 パリで有終の「金」を
進化を続ける37歳の鈴木が男子50メートル自由形で貫禄を見せた。一発勝負の記録会で派遣A基準記録を軽々と超えて見せ、6大会連続のパラリンピック出場が内定。「いつも通りの調整で臨み、それなりのタイムが出ないと困る状況だった。パリに向け、いい手応え」。笑みから充実ぶりがにじんだ。
東京大会後に痛めた左肩は「ずっと付き合うしかない」という状態だが、筋力アップで補う。37秒台を国内で出したのは初めてで、「一かきで進む距離が昨年の世界選手権より伸びた」と自信を示す。
年を重ねて疲労が抜けるのに時間がかかり、「距離を泳ぎ込むとメンタルもやられる」と苦笑する。金を含む5個のメダルを獲得した東京大会の前はパリまで現役続行を考えていなかったが、「『終活』かな。出るからには表彰台の真ん中に立ちたい」。コロナ禍で無観客だった前回と違って有観客開催となる大舞台を待ちわびる。
10日の100メートル自由形と50メートル平泳ぎにもエントリー。「出場する種目はすべてメダルを目指す。パリが最後と思っているが、終わってみたら『また次も』って言うかも」。鉄人が目指す頂はまだこの先にある。
(運動部・寺田拓馬)
芹沢(沼津市出身)派遣B基準突破 精神面で成長 課題の後半克服へ
女子100メートル平泳ぎ 力泳する芹沢美希香。派遣B基準記録を突破した=県富士水泳場(写真部・小糸恵介)
東京パラから精神面で一回り成長した女子100メートル平泳ぎの芹沢が派遣B基準記録をクリア。「目標タイムに届かなかったが、スタートから積極的に行き前半は自己ベスト」。スピード練習の成果を披露した。
派遣基準記録に届かなかったものの実績の評価で代表切符をつかんだ東京大会と違い、選考会で実力を示した。「すごく緊張したが、試合前の練習で自分に前向きな言葉を掛けた」。前半から飛ばし、独り旅になったレースを泳ぎ切った。
課題は後半の持久力。ターン後に息切れして昨年10月のアジア大会で出した自己記録1分16秒85に届かず、「後半はフォームが小さくなってしまった。最後までテンポよく泳ぎたい」と反省した。
前回は7位だったが、本番で自己ベストを更新すれば、パリの表彰台が見えてくる。「海外での経験を重ね、強い気持ちで試合に臨めるようになった。もっといい記録と順位を狙い、笑顔で大会を終えたい」。伸び盛りの23歳は飛躍を誓った。
女子100メートル平泳ぎ スタートの合図で飛び込む芹沢美希香=県富士水泳場(写真部・小糸恵介)
女子100メートル平泳ぎ 力泳する芹沢美希香。派遣B基準記録を突破した=県富士水泳場(写真部・小糸恵介)