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「アートの力で街に光を」三島で芸術祭、空き店舗活用 11日開幕 終了後 貸し出し予定

 三島市の中心市街地の空き店舗を活用する芸術祭の準備が、11日の開幕に向けて進んでいる。現代アート作家が三島の魅力を詰めた作品を市民らとともに制作し、芸術祭終了後はアート付き物件として貸し出す予定だ。実行委員会の山森達也代表は「アートの力でシャッターを開け、三島の街に光を照らしたい」と意気込む。

辻さん(左から4人目)の指導を受けながら作品作りに協力する参加者=10月初旬、三島市
辻さん(左から4人目)の指導を受けながら作品作りに協力する参加者=10月初旬、三島市
下見に訪れた山本さん(左)に三島の街や店について説明する鈴木さん(左から2人目)=8月下旬、三島市広小路町
下見に訪れた山本さん(左)に三島の街や店について説明する鈴木さん(左から2人目)=8月下旬、三島市広小路町
辻さん(左から4人目)の指導を受けながら作品作りに協力する参加者=10月初旬、三島市
下見に訪れた山本さん(左)に三島の街や店について説明する鈴木さん(左から2人目)=8月下旬、三島市広小路町


 芸術祭の名称は「三島満願芸術祭」。多くの文学者が作品を残した三島に息づく文化的背景を大切にし、作家太宰治が同市で書いたという「満願」からとった。作家と市民が協働で芸術祭を作り上げ、芸術祭全体を物語として紡ぐプロセスも重視する。
 参加作家は、空間全体を作品として体験させるインスタレーションの辻梨絵子さん、言葉を元にした絵画作品を手がける古川諒子さん、映像作品を専門とする山本篤さんの3人。市民らの案内で夏ごろから下見を繰り返し、感じ取った三島の魅力を作品づくりに役立てた。
 芸術祭の目的の一つが、アートに関心がある人を三島に呼び込むことによる関係人口の拡大。芸術祭終了後も展示を残して物件を貸し出すことで、中長期的な商店街の活性化も目指す。
 同市竹倉の鈴木俊昭さんは10年以上前に廃業した実家のたばこ店「鈴木商店」(同市広小路町)を提供する。店舗を兼ねた住宅に住んでいた弟が亡くなり、活用方法を模索していたといい「昔は交通の要所でにぎわっていたが、寂しくなった。再び若い人が集まるようになったらいい」と期待する。
 今回は3店舗を活用して開催する。芸術祭は毎年継続開催し、物件を増やしていく予定。自身も4年半前に同市に移住した山森代表は「一度足を運んでもらえれば三島の可能性を感じてもらえるはず。毎年アートを蓄積させ、三島の街とつながる人を増やしたい」と話す。
 (三島支局・岡田拓也)

 作品制作や準備 市内外100人参加
 三島満願芸術祭は市民らと作り上げる「参加型」が大きな特徴だ。これまでに市内外の約100人が作品制作や準備に携わった。
 鈴木商店を会場とする辻さんが10月初旬に市内で開いたワークショップでは、作品のメインとなる富士山がモチーフのビーズカーテンを協力者とともに制作した。市民と会話しながら作業を進めた辻さんは「来るたびにいろんな出会いがあり、三島の温かさに癒やされている」と話し、普段とは違う制作を楽しんだ。
 後藤ガラス(芝本町)を会場とする古川さんは、作品の土台となる三島にまつわる言葉集めを協力者と進め、日記の提供も受けた。たまるや(本町)に展示する山本さんの映像作品は、地元の笑栄通り商店街を舞台に地元住民が出演した。

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