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心地よい距離感を表現 ネコと警官の物語、第2弾 静岡・駿河区の小説家・植原翠さん 新著出版

 静岡市駿河区の小説家、植原翠さん(29)がこのほど、「おまわりさんと招き猫 おもちとおこげと丸い月」(マイクロマガジン社)を出版した。“付かず離れず”の心地よい距離感で進むストーリー。新型コロナウイルス禍が続く今、「ひとりぼっちじゃないよと伝えたい」と作品に込めた思いを語る。

「潮の香りも届くように書いた。懐かしさを感じてもらえたら」と話す植原翠さん=静岡市駿河区
「潮の香りも届くように書いた。懐かしさを感じてもらえたら」と話す植原翠さん=静岡市駿河区

 用宗や焼津などの港町をイメージした「かつぶし町」を舞台とし、交番にすみついたしゃべるネコ「おもちさん」と新人警察官の「小槇くん」が織りなす不思議で心温まる物語「おまわりさんと招き猫」シリーズの第2弾。伝えたかった言葉やなくしてしまった大切なものなど、胸に小さな傷を抱える登場人物が、さまざまな人や“人ならざるもの”との関わりを通じて癒やされていく。
 新型コロナの感染が拡大し、「人と会えなくなった上、マスクで身近な人の表情も分からず、人との距離感はどうあるべきかと考えるようになった」。物語の中で、「おもちさん」は人間に絆を求めることはなく、町の人は人間の言葉で話すネコに最初は驚くが深追いをしない。「孤独と思われることもあるが、登場する人たちは決してそうではない。それぞれに気軽で心地よい他者との関わり方があることを表現したかった」と話す。
 小学生の時から小説を書き、姉に勧められて小説投稿サイトで作品を発表したことをきっかけに2016年、「喫茶『猫の木』物語。~不思議な猫マスターの癒[いや]しの一杯~」でデビュー。これまでに11冊を刊行した。作品の多くは大好きな動物を題材にし、散歩にでかける場所の風景などを落とし込む。普段は会社員として働き、帰宅後などに執筆している。「ほっとできるような小説を書き続けたい」と意欲を見せた。792円。

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