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進学、就職の前に…肩書がない期間「ギャップイヤー」 菊川市市民協働センターのナヤーさん、浸透に力

 菊川市市民協働センター職員のナヤー友里佳さん(20)=御前崎市=が、学生が進学や就職の道にすぐに進まず、ボランティアや旅行など学校以外の場で経験を積む「ギャップイヤー」の考えを広める活動に取り組んでいる。2020年に任意団体「日本ギャップイヤー協会」を立ち上げ、オンラインを中心に活動している。「決められた道ではなく、自分だけの道を進むのは楽しい。肩書がない期間だからこそ、さまざまな経験ができる」と力を込める。

菊川市市民協働センターの交流会でギャップイヤーを説明するナヤー友里佳さん=5月、同センター
菊川市市民協働センターの交流会でギャップイヤーを説明するナヤー友里佳さん=5月、同センター

 ナヤーさんは高校卒業後の20年春、父親の出身国で小学5年から4年間暮らしたマレーシアへの留学を希望したが、新型コロナウイルス禍でかなわなかった。将来への不安を感じる中、SNS(交流サイト)でギャップイヤーを知った。
 コロナ禍でステイホーム中に熱中したのが社会人や起業家による学生向けのオンラインイベントへの参加。毎日のように、持続可能な開発目標(SDGs)など世界の課題について議論することで視野が広がった。「コロナ禍で家にいた期間が自分のギャップイヤーだった」と振り返る。留学できずに落ち込んでいた気持ちが晴れた。
 自己を見つめ直す期間にもなった。ステイホーム中に北欧の教育に興味を持ち、その後デンマークに半年間留学した。「決断力が付いて、日々の選択に責任を持てるようになった」と話す。
 協会の運営メンバーは現在6人。毎月7日に一般からの参加者を募ってオンライン交流会を開いている。ギャップイヤーに関する質問に答えたり、取得したいと考える学生の相談に対応したりする。ウェブサイト「note」の同協会のページには、ギャップイヤー経験者27人のインタビューを掲載している。
 メンバーには高校で不登校を経験し、その後海外でボランティアを行い、大学に進学した人もいるという。ナヤーさんは「不登校、ニートには負のイメージを持つ人もいるが、ギャップイヤーと捉えれば前向きになれる。将来に悩む人に選択肢の一つとして知ってほしい」と話した。

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