モスクワ乱射133人死亡 11人拘束、ISが犯行声明
モスクワ郊外のコンサートホールに22日夜(日本時間23日未明)、迷彩服の数人が押し入り、ロックグループの公演前の観客らに向け自動小銃を乱射した。ロシア連邦捜査委員会は23日、テロ攻撃で133人が死亡したと発表。爆発と火災が発生し、多数が負傷した。プーチン大統領は23日にビデオ演説し「野蛮なテロ」と非難。実行犯4人を含む11人を拘束したとし、共犯者全員を特定して処罰すると強調した。
過激派組織「イスラム国」(IS)は23日、戦闘員4人が「多数のキリスト教徒を襲撃し、数百人を殺傷した」との犯行声明を系列メディアで発表した。プーチン氏は演説で「国際テロという共通の敵と戦う全ての国々と協力する用意がある」と強調した。
連邦捜査委員会は容疑者4人をロシアが侵攻するウクライナとの国境のロシア西部ブリャンスク州で拘束したと発表。プーチン氏は実行犯らがウクライナに越境する「窓口」が用意されていたと主張した。一方でウクライナ外務省は銃乱射への関与を「断固として否定する」との声明を発表した。
米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は、米国の安全保障当局者らがアフガニスタンに拠点を置くIS系勢力「ISホラサン州」による犯行とみていると報道。米国が今月、モスクワでのテロ計画の情報を入手しロシア側に伝えたという。ロシア連邦保安局のボルトニコフ長官も昨年10月に「ISホラサン州」がアフガン国外でテロを起こす可能性を指摘し、警戒を呼びかけていた。
実行犯は手投げ弾も使用。大量の銃弾や引火性の液体を所持していた。目撃者は「犯人は至近距離から人々を撃った」と証言した。交流サイト(SNS)に投稿された映像には、ナップザックを背負った数人が自動小銃を連射しながら、ホールの正面入り口から内部に入る様子が映っている。ホールには当時数千人がいたとみられ、多くは階段で避難した。
コメルサント紙電子版は、ウクライナ側から越境攻撃を続ける武装集団「ロシア義勇軍団」が関与したとの見方を伝えた。
現場はモスクワ市の北西クラスノゴルスクにある「クロッカス・シティ・ホール」。爆発が複数回起き、入居する複合施設が炎上して黒煙が上がった。(共同)