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御殿場の私設図書館「さかいめ」オーナーの個性光る本棚 来館者交流の場に

 本棚の各区画のオーナーが好きな本を並べる私設図書館「みんなの一箱図書館さかいめ」(御殿場市萩原)が交流の機会を生み出している。特定のテーマや同じ著者関連の本だけを置くなどオーナーの個性光る本棚が来館者の関心を誘い、世代や性別、居住地を超えて人を結びつける。

オーナーの個性が光る本棚。来館者との交流を生んでいる=御殿場市萩原の「みんなの一箱図書館さかいめ」
オーナーの個性が光る本棚。来館者との交流を生んでいる=御殿場市萩原の「みんなの一箱図書館さかいめ」

 御殿場駅近く、カフェと同じフロアにある「さかいめ」の本棚の約40区画はそれぞれ、月2200円を払ったオーナーが自由に使える。ルーツのあるブラジル関連の本を並べたり、愛好するけん玉や自転車の本で統一したり、本に合わせた小物を置いたり。縦31センチ、横41センチ、奥行き24センチの空間からはオーナーの人となりが伝わる。来館者は登録手数料300円を払えば、何度でも本を借りられる。
 「本を置いてくれてありがとう」「出会えてよかった」―。借りた人からオーナーへのメッセージが、感想カードで寄せられる。蔵書を見て「気が合いそう」とオーナーにプレゼントする人も。運営する森岡まこぱさん(42)は「本を見ると、どんな人がオーナーか想像力がかき立てられる。興味ある分野でつながる仕掛け」と話す。相手の年齢や性別が分からず、対面ではないため、交流のハードルが下がるという。
 富士山麓のローカルウェブメディアを運営する森岡さんが、人と人のつながりを生む場所をつくろうと3月にオープンした。オーナーらによるトークイベントを毎月開くなど、リアルの出会いの機会もつくる。今後は遠方に住む人専用の区画を用意し、御殿場と関わる人を増やしたい考え。「一番簡単にできる2拠点生活とアピールして全国の人を巻き込みたい」と先を見据える。
 (東部総局・矢嶋宏行)

新たな出会い 楽しみの一つ
 本棚のオーナーも新たな出会いを心待ちにしている。友人に紹介されてオーナーになった東京都渋谷区の男性(65)は、研究しているオオカミ関連の絵本とDVDを棚に置いた。富士山麓のオオカミ伝説に関心を示し「知っている人からのコンタクトを待っている」と話す。偶然図書館に居合わせた人と海外のSF作品の話題で盛り上がり「本をきっかけに他ではない出会いが生まれた」と喜ぶ。
 オープン以降、本棚は空き待ちの状況が続いている。

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