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再審法の改正求め 静岡県議会 意見書可決 「公平性損なう」【最後の砦 刑事司法と再審】

 静岡県議会は18日、戦後一度も改正されていない再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を国に求める意見書案を全会一致で可決した。冤罪(えんざい)被害者の人権救済について、国はもちろん「地方自治体にとっても重要課題」と受け止めた上で、わずか19カ条しかない現行法では再審請求審の適正さが「制度的に担保されず、公平性も損なわれている」と指摘している。
 意見書では、捜査機関の手元に残された証拠が再審段階で明らかになり、冤罪被害者を救済する大きな原動力になった事例が多いと説明。だが、証拠を開示させる規定がないため、裁判官や検察官の対応によって差が生じているとした。再審開始決定に対して検察官が不服を申し立てた事例も相次ぎ、速やかな救済が妨げられていると強調。再審請求審の適正化に資する規定と全証拠の開示規定の整備に加え、再審開始決定への検察官の不服申し立てを禁止することを要請した。
 静岡県弁護士会の杉田直樹会長は取材に「県議会の賛同を得られて心強い。静岡、浜松の両政令市をはじめ、多くの市町議会が後に続いてくれることを期待している」とコメントした。
 袴田巌さん(88)の第2次再審請求審では、確定審に未提出の証拠約600点が開示された。静岡地裁は2014年に再審開始を認めたが、検察官の即時抗告で確定までに9年要した。
 北海道議会と岩手など3県議会のほか、三島と下田の両市を含めた全国210以上の市町村議会が同様の意見書を可決している。
 (社会部・佐藤章弘)

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