「聞く力」から社会性、共感力(飯田道郎/伸芽会教育研究所所長)【未来につなげる幼児教育⑤】
前回の「見る力」に続き、今回は「聞く力」について考えます。
母親が妊娠中に音楽などを聞かせる胎教については、その効果がさまざまな研究で実証されており、おなかの中で聞く力も育まれます。
ところが保護者は、子どもが1歳ごろから話し始めるまで聞く力をなかなか実感できません。
赤ちゃんは言葉を発しないだけ。多くの言葉を耳から獲得しているので、話し始めると相手の反応も分かり、聞く・話す力がどんどん伸びていきます。
2歳くらいになると周囲の音を注意して聞くようになり、常識が身に付き、注意力も高まります。指示されることが理解できるようになります。保育園・幼稚園などでの年齢の近い子どもとの遊び、けんかなどを通じ、社会性や共感力も高まってきます。
この年齢は「自分が、自分が」という感じで大人からすれば独善的に見えがち。ですが、子どもは着実にコミュニケーション能力を獲得し、視野と興味の対象も広がります。目や音声の情報を整理する力にもつながります。
まずは焦らずに聞く力を刺激するため、言葉をたくさん掛けてあげましょう。子どもの言葉に耳を傾けてあげることも大切です。
絵本の読み聞かせもお勧め。物語を理解し想像力を養う、言語力が高まる、集中力が上がるなど、さまざまな効果があるとされます。話だけ聞いている時より、絵など具体的な物を見ながら聞く時の方が理解力が高まります。
(飯田道郎・伸芽会教育研究所所長)