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松本(伊東高出身)無念、パリ散る 高(城南静岡高)予選突破 競泳・五輪代表選考会

 競泳のパリ五輪代表選考会第7日は23日、東京アクアティクスセンターで行われ、男子200メートル個人メドレーは瀬戸大也(CHARIS)が1分56秒87で1位となり、派遣標準記録を突破して3大会連続の代表に決まった。松本周也(ひまわりNW、伊東高出)は2分1秒71の8位。前半を首位で折り返したが、パリ五輪の出場権獲得はならなかった。
男子200メートル個人メドレー決勝で力泳する松本周也=東京アクアティクスセンター(写真部・宮崎隆男)
 準決勝は女子200メートル個人メドレーの大橋悠依(イトマン東進)や同50メートル自由形の池江璃花子(横浜ゴム)が全体トップで最終日の24日の決勝に進んだ。男子100メートルバタフライは松元克央(ミツウロコ)や水沼尚輝(新潟医療福祉大職)が勝ち上がった。
 県勢は女子800メートル自由形の高遥香(城南静岡高)が8分46秒68で8位に食い込み、24日の決勝に進出した。

 前半トップも…力尽き8位「やりきった」
 パリに向けた松本(ひまわりNW、伊東高出)の旅路が終幕を迎えた。男子200メートル個人メドレー決勝は8位で五輪出場権獲得はならず。それでも得意の前半を首位で折り返し、「やりたいことはやれた」と表情は晴れやかだった。
 予選、準決勝では最大の武器のバタフライと背泳ぎで苦戦したが決勝は一転、「全てをかける」と鬼気迫る泳ぎで先行した。100メートル時点では53秒24と2番手の瀬戸に1秒以上もの差を付けたが、積年の課題だった平泳ぎでジリジリと後退。「悔しいが、やりきった気持ちのほうが大きい」と充実感が勝った。
 200メートルと400メートルの個人メドレーで全国高校総体2冠の実績をひっさげて進学した中京大では、3年時の東京五輪代表選考会の200メートル個人メドレーで瀬戸と萩野(引退)に次ぐ3位。輝かしい実績がありながら節目の度に引退が頭をよぎったが、「次のステージで競技が続けられる自分には泳ぐ責務がある」と、プールから離れることはなかった。
 しのぎを削ってきたライバルの多くが既に競技生活を終える中、「彼らの期待に応えたい」との思いが松本の原動力だった。悲願はかなわなかったが、「苦しい道のりだったけれど、ここまで来られたのは両親や皆のおかげ」。レース後、口をついて出たのは感謝の言葉だった。
 (下田支局・伊藤龍太)

 豪生活が自信「夏は任せて」
 得意の平泳ぎで一気に抜け出し、最後の自由形も勢いを持続した。瀬戸は男子200メートル個人メドレーの派遣標準記録を切ってトップでゴールすると舌をぺろり。3大会連続の五輪出場を決め「夏は任せて」と笑みを浮かべた。
 数々の名選手を育てたボール・コーチに師事することを決め、昨秋、オーストラリアへ渡った。練習場と青い海を望む部屋に暮らし、毎朝5時台に起きて自由形長距離の選手と一緒に泳ぎ込んだ。振るわなかった昨秋の杭州アジア大会から体重を8キロ絞り「やれることは全てやってきた」と今大会へ臨んでいた。
 400メートル個人メドレー、200メートルバタフライで代表切符を逃して崖っぷちに立たされたが、充実の日々が自信となって「これで選ばれなかったら仕方がない。プレッシャーはない」と焦りを見せなかった。長らく日本を引っ張ってきた男が、土壇場で意地を見せた。

 高「びっくり」 女子800自決勝 城南静岡高
 女子800メートル自由形は、昨夏の全国総体で銅メダルを獲得した高(城南静岡高)が予選を突破。同1500メートルに続いて決勝進出を果たし、「びっくりだけれど、大舞台で自分の力を発揮したい」と目を輝かせた。
 最初の50メートルは組内5番手だったが「いつも力んでしまう。最初のターン後からしっかり加速していく」と想定通り。一時2番手に浮上するなど中位を堅持した。自己記録には及ばなかったものの、8分46秒68の全体8位で滑り込んだ。
女子800メートル自由形予選を8位で通過し決勝進出を決めた高遥香=東京アクアティクスセンター(写真部・宮崎隆男)
 とこはSSの先輩・望月(鈴与)は予選を棄権。「本当は一緒に決勝を泳いでみたかった」と惜しむが、「いい結果を報告できるように今度こそ自己新を出す」と意気込んだ。

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