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災害関連死対策を充実 静岡県、避難所運営マニュアル改定

 静岡県はこのほど、避難所運営マニュアルと避難生活の手引きを改定し、県の公式ウェブサイトに公開した。避難生活での体調悪化などによる災害関連死を防ぐための内容を充実させた。マニュアルでは避難所で良好な環境を確保し円滑な運営を実現するために、「平時からの準備」の章を新設した。手引きには、被災者の個別課題に寄り添い伴走しながら生活再建を目指す「災害ケースマネジメント」の紹介を盛り込んだ。

災害関連死の防止に関する項目を充実、追加させた避難所運営マニュアルと避難生活の手引き=3月上旬、県庁
災害関連死の防止に関する項目を充実、追加させた避難所運営マニュアルと避難生活の手引き=3月上旬、県庁

 県第4次地震被害想定では、南海トラフ巨大地震の発生時、県内では最大130万人の避難者が見込まれるため、要配慮者の対応や運営のルール化などが重要な課題となっている。一方で、県内の避難所運営訓練の実施率は50%に届いていない現状もある。
 マニュアルに新設した「平時からの準備」では、避難所運営に関わる自主防災組織や行政、学校などの施設管理者が話し合いの場を持ち、開設に必要なマニュアルやレイアウトを決めておくことを明記した。連絡、情報通信手段の確保やトイレなどの衛生環境、感染症対策など25項目のチェックリストも掲載した。
 避難生活の手引きでは、全戸訪問などによる状況把握や、支援策を話し合うケース会議の開催など「災害ケースマネジメント」の手法を図で分かりやすく説明している。県危機情報課の担当者は「平時から関係団体で連携を確認すると同時に、県民には避難生活の心づもりをして備えてほしい」と呼びかけた。
 マニュアルはウェブ版のほかに冊子版も作成し県内約5700の全自主防災組織に配る。
 (社会部・中川琳)

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