大自在(3月24日)浜名湖花博2024開幕
700万年前に登場した人類は猿人、原人、旧人(60万年前~)、新人(20万年前~)と進化したと習った。旧人のネアンデルタール人と私たち現生人類のつながりをDNAから解明したスバンテ・ぺーボ氏は2022年ノーベル生理学・医学賞を受けた。
ネアンデルタール人は毛皮を着用し剥片[はくへん]石器を使うなどした。イラクの洞窟遺跡で骨の周辺の土から花粉が発見され、「死者を弔う心も」と話題になった。花粉は小動物によって持ち込まれたという異説もあるが、それでも宗教的世界観までは否定されないという。
仏壇にも墓参りにも花は欠かせない。野辺の地蔵に手向けられた一輪の花に足を止めることもある。冠婚葬祭、人類はいつから花を捧げて祈り、祝うようになったのだろう。花には人の思いが込められ、思いを人に伝えるということは確かだ。
政府は食料安全保障の強化を掲げた食料・農業・農村基本法改正案に併せ、食料供給困難事態対策法案を今国会に提出した。国民が最低限必要とする食料が不足する恐れがある場合、花卉[かき]農家にイモなどカロリーの高い農作物を栽培するよう強制するケースも想定したらしい。
静岡県の農業産出額約2千億円のうち、花卉は約1割を占める。ガーベラは全国シェア44%、1位である。観葉植物(鉢)は12%、2位(21年)。ノンカロリーの作物を丹精している人たちはどう受け止めるのか。
「浜名湖花博2024」が開幕した。花々からも多くのメッセージが受け取れそうだ。花のある日常の豊かさを思う機会になればと思う。