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東日本大震災 きょう13年 災害派遣チーム多様化 受援や連携 なお課題

 2万2千人以上が犠牲になった東日本大震災から11日で13年。震災を教訓に、避難所や被災地で活動する新たな医療や福祉の災害派遣チームができ、全国的な整備が進んだ。各支援の総合調整をサポートするチームも創設された。1月1日の能登半島地震でも多様なチームが活動している。一方で、受援体制や現場レベルでの情報共有、業務連携には今なお課題がある。
災害時に活動する主な医療・福祉関連チーム
 東日本大震災を契機に創設されたのは、保健医療福祉調整本部などで総合調整や指揮機能の補助を担う災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)や、避難所の環境改善や要配慮者の福祉ニーズに対応する災害派遣福祉チーム(DWAT)、心のケアに当たる災害派遣精神医療チーム(DPAT)など。
 東日本大震災など過去の災害では、さまざまな団体が状況把握のために聞き取り調査を実施した。ただ、避難者にとっては入れ代わり立ち代わりいろいろなことを聞かれるため大きな負担となり、関係者の間では「聞き取り地獄」などと呼ばれることもある。能登半島地震では、毎日定時に支援者ミーティングで各チームが活動状況を報告している。保健師が聞き取りをした健康調査票を共有し、DWATの活動でも活用するなどの連携もあった。
 より支援の効率化や避難者の負担軽減を図るため、保健師やDWATなどが合同で聞き取りをする体制構築が必要との意見もある。21年の熱海市伊豆山の大規模土石流では、静岡県内の保健師とDWATが一緒に避難所を巡回した。18年の西日本豪雨でも、外部支援の合同チームで活動した。能登半島地震で2次避難前の一時的な受け入れ先である「1・5次避難所」に派遣された静岡DWATの古橋誠さん(56)は熱海の経験を振り返り、「同じ質問でも、福祉と保健で目の付け所が違い、それぞれが課題や改善点を把握できる」とメリットを挙げる。
 ただ、こうした体制が確立されているわけではなく、現場の感覚で活動している側面がある。県健康福祉部企画政策課の担当者は「保健師とDWATが一緒に活動するのは理想的」とする一方で、大規模災害時の人材確保の難しさを挙げる。DWATの受援体制も検討中だ。県福祉長寿政策課の鈴木立子課長は「情報共有や集約、応援チームの差配などにルールが必要。能登地震の課題も踏まえて体制を整えたい」と述べた。
 (社会部・中川琳、吉田史弥)

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