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AI促進と規制両立へ 広島プロセス拡大 G7、デジタル相会合

 【トレント共同】先進7カ国(G7)産業・技術・デジタル相会合は15日、イタリア北部トレントで2日目の協議を行い、人工知能(AI)について技術革新の促進と人権や個人情報などの保護の両立を達成するとした閣僚宣言を採択し閉幕した。昨年12月に最終合意した国際的なルール作りの枠組み「広島AIプロセス」をG7以外に広げる方向でも一致した。

15日、イタリア・トレントで開かれたG7産業・技術・デジタル相会合の会場(共同)
15日、イタリア・トレントで開かれたG7産業・技術・デジタル相会合の会場(共同)


 公共インフラなどでAIのリスクを認識しながら安心して活用できるよう成功例を共有する。広島AIプロセス推進のため、新興国や途上国の関与を歓迎し、枠組みに沿った運用かどうかを監視する仕組みの重要性も強調した。
 AIを巡って「チャットGPT」など生成AIの急速な発展により偽情報の拡散や著作権侵害といった懸念が強まっている。欧州連合(EU)欧州議会が今月13日に世界初の包括的な規制法案を可決。日本は事業者向けのガイドライン(指針)案を策定した。
 河野太郎デジタル相は会議後、記者団に「規制を前もって入れるEUと、日米など技術開発が先で必要なら規制しようというアプローチの違いはあるが、向いている方向に差はない」と述べた。
 宣言はほかに、今後の技術開発の基盤となる半導体のサプライチェーン(供給網)の強化や、関連情報を共有する事務局の設立も盛り込んだ。国をまたぐデータ通信の基盤となる海底ケーブルを安全なルートで敷設する重要性も確認した。
 会合は14日にイタリア北部ベローナで開幕した。

 広島AIプロセス 利用者の指示で文章や画像などを生み出す生成人工知能(AI)の国際的なルール形成の枠組み。日本が議長国を務めた昨年5月のG7首脳会議(広島サミット)で推進することが決まり、同12月に最終合意。偽情報拡散や著作権侵害といったリスクに対処するため、開発者から利用者まで全てのAI関係者に守るべき責務を定めた。法的拘束力はなく、具体的な対応は各国に委ねる。
 (トレント共同)

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