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東京五輪汚職事件・元理事インタビュー 「森元首相、裁判に出て証言を」 

 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会協賛社などから賄賂を受け取ったとして受託収賄罪に問われた大会組織委員会元理事の高橋治之被告(79)が3日までに、共同通信のインタビューに応じた。無罪主張の高橋被告は、重要な争点となっている自身のマーケティングの職務権限を否定した上で、組織委会長だった森喜朗元首相(86)に対し「裁判に出てきて、本当のことを言ってほしい」と証言を要請した。

インタビューに応じる東京五輪・パラリンピック大会組織委員会元理事の高橋治之被告
インタビューに応じる東京五輪・パラリンピック大会組織委員会元理事の高橋治之被告

 検察側は、任意聴取での森氏の供述などを根拠に、高橋被告が森氏からマーケティング担当理事としてスポンサー集めを任され、組織委に働きかける権限があったと主張している。高橋被告は「(森氏から)任されていない。聞いたこともない」と具体的な職務権限を否定。森氏の証人尋問により、明確にすべきだとの考えを示した。
 受け取った資金に関しては、民間同士の取引の対価だとして「賄賂という気持ちもないし、ビジネスと考えていた。検察が賄賂と決めつけて事件化した」と強調。既に贈賄側10人と収賄側1人の有罪が確定している状況を「不利」と受け止めつつ、自身が有罪判決を受けても上級審で争う姿勢を示した。その上で「最終的には絶対に無罪になる」と自信を口にした。
 受託収賄罪は公務員が職務に関し請託(依頼)を受け、賄賂を受け取った場合などに適用される。東京大会の特別措置法で、組織委理事を「みなし公務員」と規定していたことについて、高橋被告は通知を受け取ったと認める一方「きちんとした説明がなく、認識は全然なかった」と述べた。
 一連の事件について「僕が引き金を引いたことになっているが、検察が大会をぶち壊した」と批判。選手やスポンサー、大会関係者を念頭に「一生懸命頑張った人たちに、大変申し訳なく思っている」とも述べた。
 起訴内容によると、大会協賛を希望する企業などから迅速な契約締結などの請託を受け、2017~22年に計約1億9800万円を受領したとしている。

 東京五輪汚職事件 東京地検特捜部は2022年8月以降、受託収賄容疑で大会組織委員会元理事の高橋治之被告(79)を4回逮捕した。贈賄側は(1)紳士服大手AOKIホールディングス(2)出版大手KADOKAWA(3)広告会社大広(4)広告大手ADKホールディングス(5)大会マスコットのぬいぐるみを販売したサン・アロー。立件された15人のうち贈賄側10人、収賄側1人の有罪が確定。大広元執行役員谷口義一被告(59)の公判は結審し、KADOKAWA前会長角川歴彦被告(80)と、高橋被告の電通時代の後輩で受託収賄罪に問われた深見和政被告(74)の初公判期日は未定。

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