あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 編集部セレクト

大自在(3月13日)給食を支える

 学校給食法が1954年に施行されてから今年で70年。設置者の施設経費負担などとともに、この法律が定めているのが給食費の保護者負担だ。
 小中学校の給食費を巡っては県内をはじめ全国の自治体で、子育て支援などを掲げて無償化や軽減の動きが広がっている。給食が子どもたちの心身の健康や成長に果たす役割は大きい。義務教育に伴う負担であり、無償化の優先度は高いのではないか。
 無償化については、自治体の財政力による格差も懸念され、国主導での実施を求める声は根強い。全国知事会も昨年7月、無償化の実現に向けて国の責任と財源で制度設計するよう提言をまとめた。文部科学省は全国の実態を調べていて、岸田文雄首相は先月の衆院予算委員会で、調査結果を6月までに公表すると述べた。
 食材価格の高騰で、給食調理の現場は栄養バランスや量、おいしさを維持するために苦心を重ねる。鶏肉はもも肉の代わりにむね肉を、小松菜の代わりにモヤシを使うなどの報道もあった。たとえ無償化しても、質の低下は避けなければならない。
 「給食が教えてくれたこと 『最高の献立』を作る、ぼくは学校栄養士」(くもん出版)は松丸奨さんが、予算の壁などにぶつかりながらも給食のレベルアップを目指す奮闘記。週末に農家に通って畑仕事を手伝い、信頼関係を築いて地元野菜の納入にこぎつけた努力には脱帽だ。
 給食は時代を映し、大人になっても忘れられない「特別な味」。財源確保などが課題となる中で迎えた法施行からの節目、その在り方をみんなで考えたい。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

編集部セレクトの記事一覧

他の追っかけを読む