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大自在(3月4日)就活本格スタート

 「男女同一待遇を基本としています」。1980年、求人誌に載ったファミレスの募集広告は、つまり同一待遇が普通でなかったということだ。
 86年、男女雇用機会均等法が施行。しかし10年たっても実効は限定的で、求人誌にはこんな文言が登場した。「就職の年だけ、男だったらいいのに。」(98年、人材派遣)。
 どちらも「女性と求人情報―女性活躍の時代に向かって」(2018年)から引用した。著者渡辺嘉子さんは、求人広告は時代の女性観や社会の期待を反映し、その移り変わりは「人が活かされていく流れ」と注目した。
 就活という言葉の登場は2000年ごろだったか。就活小説「格闘する者に○[マル]」(00年)、「シューカツ!」(08年)、「あの子が欲しい」(15年)などは主人公が女子学生だったり、採用担当の女性だったりする。話題作「六人の嘘つきな大学生」で最終選考に残ったのは男4人、女2人という設定。
 25年春卒業予定の大学生の就活が本格スタートした。今年も「売り手市場」とされる。インターンシップ(就業体験)活用やオンラインと対面の混成選考など新たな潮流が広がりつつある。
 就職情報会社が22年に行った調査で「就活中は企業の対応に男女差をまったく感じなかった」と回答した女子学生が約半数いたという。ところが依然、上位管理職への昇進を阻む「ガラスの天井」など男女格差は根強く、女性が働きやすい国への道のりは遠い。就活は男女の別なくジェンダー(社会的性差)をより深く考える機会になるだろうし、そうあってほしい。

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