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郊外型喫茶チェーン コメダ、星乃の先駆け(刈部山本/大衆食、町歩きライター)【ロードサイドグルメ今昔③】

 「コメダ珈琲店」や「星乃珈琲店」といった郊外型喫茶チェーンの躍進が目覚ましい。愛知県や岐阜県は、コーヒーしか頼んでいないのにトーストやゆで卵、サラダなどが付く「モーニング文化」で知られるが、そうした場所で生まれたコメダは今や全国区の人気となっている。

ログハウス風店舗の「珈琲茶館オービー」
ログハウス風店舗の「珈琲茶館オービー」

 純喫茶が衰退した都心部では1990年代以降、「ドトールコーヒーショップ」など手軽で安価な喫茶チェーンが取って代わり、デフレが進む中でコーヒーも価格競争の波にのまれた。一方、コメダのコーヒー価格は大方のチェーンの2倍近くするが、次々と新規出店し、人気を博している。これは価格以上にゆったりとしたスペースで会話や食事を楽しむことに、客が価値を見いだしているからだ。こうしたビジネスモデルは純喫茶に親しんだ年代の人々には懐かしい光景に映るだろう。
 家族連れなど複数人が車で立ち寄れる郊外のロードサイドにも需要があり、コメダや星乃の進出以前から存在していたチェーンもある。まず埼玉県東部を中心に展開する「珈琲茶館オービー」はログハウス調の建物で、ドリンクは驚がくのビッグサイズ! 冷たい飲み物は洗面器や金魚鉢のような巨大なガラスボウルで出てくる。1977年創業で、「インスタ映え」という言葉が生まれる前から映えまくっていた。
 「羅布乃瑠沙羅英慕[ノブノオルサラエボ]」という、暴走族の名前みたいな漢字が並ぶチェーンは北関東を中心に展開。外観はゴシック調の洋館で、店内はボックス席がメイン。本格的なドリップコーヒーが楽しめる上、ハンバーグからパスタ、和の丼物にスイーツまで多種多様なメニューがそろう。しかも手が込んでいて、専門店に引けを取らない。残念ながらコロナ禍で閉店した店が多いが、埼玉県春日部市や福島県では健在だ。
 茨城県には深緑のドーム屋根が目を引く「COFFEE HOUSEとむとむ」が、東京都清瀬市には「るぽ」という大型喫茶店が元気に営業する。それぞれに、郊外で大人数でも楽しめるよう独自に進化してきた。その土地ならではの醍醐味[だいごみ]をぜひ味わってほしい。
 (刈部山本・大衆食、町歩きライター)

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