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スイス金融大手株価暴落 米国発不安、欧州に飛び火

 米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻に端を発した金融システムへの不安が、欧州に飛び火した。経営再建中の金融大手クレディ・スイスの株価が暴落した。スイス国立銀行(中央銀行)やスイスの金融当局が支援を表明し、世界的な危機を防ごうと対応を急ぐが、予断を許さない。

15日、クレディ・スイス株暴落の影響を受けた株価指数を示すドイツ・フランクフルトの証券取引所のモニター(ロイター=共同)
15日、クレディ・スイス株暴落の影響を受けた株価指数を示すドイツ・フランクフルトの証券取引所のモニター(ロイター=共同)

 敏感
 きっかけは、大株主の一言だった。経営難が続くクレディ・スイスの筆頭株主であるサウジナショナル銀行の会長が追加出資の可能性を問われ「絶対にあり得ない」と発言したことが伝わり、15日の株価は一時、前日比で30%超暴落した。
 米SVBと米シグネチャー銀行の相次ぐ破綻で、投資家が銀行経営の行方に敏感になっていたところだった。クレディ・スイスは昨年10月にも経営危機がささやかれ「仮に破綻すれば影響の大きさはSVBとは比較にならない」(米銀関係者)とみられている。投資家が消極的になり、世界同時株安につながった。
 先手打って対応
 スイス中銀とスイス金融当局は株価暴落から半日もたたずに支援策を発表し「クレディ・スイスは重要な銀行に課される資本や流動性の要件を満たしている」と健全性を訴えた。
 その数時間後にはクレディ・スイス自身がスイス中銀からの最大500億スイスフラン(約7兆1千億円)の調達を表明するという矢継ぎ早の対策で沈静化を図った。「先手を打って流動性を強化するための決断を下した。金利リスクに対しては保守的だ」として、SVBなどとの違いを強調した。ただ、これで危機が過ぎ去るかは不透明だ。
 GDP下押し
 米国でも中小銀行を中心に信用不安の連鎖への警戒が続く。サンフランシスコを拠点とするファースト・リパブリック銀行の15日の株価は終値で前日比21%安となった。SVBと同様の大口預金が多いことから連想されて13日に暴落し、14日に値を戻したが再び売られた。米ブルームバーグ通信は同行が身売りも検討していると報じた。
 ゴールドマン・サックスのアナリストは15日のリポートで、中小銀行が預金引き出し増に対応するため貸し出しに慎重になることで、米国の国内総生産(GDP)が下押しされると記した。「米国は金融システムを強化するために積極的な措置を講じたが、一部の銀行に対する懸念は残っている」とも指摘する。景気への影響も懸念されている。(ニューヨーク共同=隈本友祐)

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