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【パリ五輪】仏、ISテロ警戒強める 環境デモやスト懸念も

 開幕まで4カ月を切ったパリ五輪に向け、フランス当局は過激派組織「イスラム国」(IS)などによるテロへの警戒を強めている。政府は各国に警備支援を要請。大会ボランティアなど関係者約100万人の徹底的な身辺調査を進める。環境活動家による過激な抗議行動や鉄道など交通網のストライキへの懸念もぬぐえず、順調な大会実施へ課題は依然山積みだ。

パリのエッフェル塔近くの広場をパトロールする兵士=1日(ロイター=共同)
パリのエッフェル塔近くの広場をパトロールする兵士=1日(ロイター=共同)
パリの市庁舎前で警備する警察官=3日(共同)
パリの市庁舎前で警備する警察官=3日(共同)
パリ五輪の主な懸案
パリ五輪の主な懸案
パリのエッフェル塔近くの広場をパトロールする兵士=1日(ロイター=共同)
パリの市庁舎前で警備する警察官=3日(共同)
パリ五輪の主な懸案

 ▽排除
 「五輪のボランティアにも明らかに善意でない人がいる」。ダルマナン内相は3月末、これまでにボランティアや聖火ランナー、選手の同行者ら18万人を調査し、うち800人を「潜在的な危険がある」として排除したと明らかにした。
 800人は過激なイスラム主義者か、五輪で抗議活動を企てる恐れがある過激な環境主義者だとしている。今後さらに80万人を調査する予定だ。
 モスクワ郊外で3月に起きた銃乱射テロを受け、フランス政府は国内のテロ警戒水準を最高に引き上げた。政府によると、テロの犯行声明を出したIS系勢力「ISホラサン州」は過去数カ月間にフランスでもテロを企てていた。情報機関は同勢力とつながりがある可能性があるとして、国内在住の「中央アジア出身者」をマークしているとされる。
 ▽美しいショー
 五輪期間中の安全確保で最も懸念されているのがセーヌ川で行われる開会式だ。夏季五輪史上初めて競技場外で実施され、警備が非常に困難とされる。フランスメディアによると、情報機関の対内治安総局(DGSI)は「リスクが高すぎる」と内相に報告した。
 「プランBやプランCがある」(マクロン大統領)として代替案の可能性も指摘されるが、ウデアカステラ・スポーツ相は3月末「フランスと全世界の人々に最高に美しいショーを見せたい」と訴え、現状では予定通りとの考えを強調した。
 ▽ボーナス
 フランスでは昨年6月に少年が警察官に射殺された事件を発端に各地で暴動が発生。今年3月にはパリ郊外の五輪・パラリンピックの選手村近くで、10代の若者が警察の追跡を受けて死亡したことが引き金になり警察署が花火などで襲撃された。警察は付近の警備強化を約束したが、五輪期間中に若者らの暴動が再発生する懸念は残る。
 鉄道や地下鉄などのストライキへの懸念もくすぶる。起きれば世界中から訪れる観客を大混乱に陥らせるが、フランス国鉄(SNCF)のファランドゥー総裁は地元メディアに、期間中は職員にボーナスを支払う方針だとした上で「特別なリスクはない」と明言した。(パリ共同=田中寛)

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