あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 読み応えあり

【産業用ロボット】日本が高シェア期待の技術 人手不足で需要急増

 日本が世界的に高い市場シェアを持つ産業用ロボットの利用が急拡大している。グローバルに人手不足や人件費高騰が進んで自動化需要が高まっており、市場が伸び続ける見通しだ。人工知能(AI)搭載による技術革新も追い風だ。日本を今後支える技術とも言われており、成長に期待がかかる。

有川製作所の工場で導入されているオムロンのロボット(手前)=3月、石川県津幡町
有川製作所の工場で導入されているオムロンのロボット(手前)=3月、石川県津幡町
安川電機が市場投入した、生成AI搭載のロボット「モートマン ネクスト」(同社提供)
安川電機が市場投入した、生成AI搭載のロボット「モートマン ネクスト」(同社提供)
安川電機が市場投入した、生成AI搭載のロボット「モートマン ネクスト」(同社提供)
安川電機が市場投入した、生成AI搭載のロボット「モートマン ネクスト」(同社提供)
世界の産業用ロボット設置台数
世界の産業用ロボット設置台数
有川製作所の工場で導入されているオムロンのロボット(手前)=3月、石川県津幡町
安川電機が市場投入した、生成AI搭載のロボット「モートマン ネクスト」(同社提供)
安川電機が市場投入した、生成AI搭載のロボット「モートマン ネクスト」(同社提供)
世界の産業用ロボット設置台数

 ▽人材難で導入
 「ロボットは疲れず、誤った動作をしないので品質が安定する」。金属プレス加工を手がける有川製作所(金沢市)の有川富貴社長は、オムロンから購入したロボットの活躍を喜ぶ。石川県津幡町の工業団地にある拠点では、ロボットが金属板をプレス機に置き、加工後に所定の場所に置く動作を休まず繰り返していた。
 有川製作所はナブテスコや村田機械(京都市)といった大手とも取引し、工作機械や半導体製造装置向けの部品が主力だ。従来は人が中心で作業していたが、若手人材の採用難を背景にロボットを導入した。
 効果は大きく、2020年以降に生産能力は9%以上、検査能力も22%以上伸びた。有川社長は「単純作業を機械化し、人には付加価値の高い仕事をしてもらう」と話し、今後も省人化を進める方針だ。
 ▽AIが指示
 日本は産業用ロボットの一大生産国で、国際ロボット連盟(IFR)によると22年の世界シェアは46%。大手メーカーのファナックは米国の自動車産業向けに強く、ゼネラル・モーターズ(GM)といった主要メーカーに溶接ロボットなどを供給。食品や医薬品の製造ライン向けも扱う。
 近年はAIを搭載した高性能ロボットに注目が集まる。安川電機は23年11月、米半導体大手エヌビディアの技術を活用し、生成AIで自律的に動く初の機種「モートマン ネクスト」を市場投入した。
 岡久学ロボット事業部長は「通常は作業手順を詳細にプログラムするが、あいまいな指示でも作業ができるようになった」と語る。人間による判断が必要で機械化できなかった製造工程にも導入できるという。
 ▽暗い工場
 IFRによると、世界の産業用ロボット新規設置台数は22年の約55万3千台から、26年には71万8千台に達すると予想している。年率7%で市場が伸びる計算で、製造業が盛んな中国向けが最も大きい見込みだ。
 岩井コスモ証券の有沢正一投資調査部長は「ロボットによる細かい作業は日本企業が得意な分野で、成長をけん引していくだろう」と指摘。日本が国際的な競争力を維持するために重要な産業との認識だ。
 機械による自動化の先にあるのは無人化だ。人がいなければ照明が不要となり、稼働しているのに真っ暗な工場を意味する「ダークファクトリー」が実現するとされる。人間の仕事を奪う是非も議論されているが、今後の日本を支える可能性がある重要技術なのも間違いない。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

読み応えありの記事一覧

他の追っかけを読む