【#ジェンダー ともに】女性ユニット、歌で訴え #KuToo石川さんら
歌やダンスを通じ、性差別など社会問題や政治について考えるきっかけにしてほしいと、各地の集会でパフォーマンスを披露しているユニットがいる。メンバーの1人は、職場でのヒール靴強制に反対する「#KuToo」運動を呼びかけた俳優の石川優実さんだ。3月に音楽配信を始めた曲で、性暴力サバイバーとしての経験を基に作詞を手がけた。
ユニット「公園でchill」は、石川さんのほか、俳優の宮沢もえみさん、シンガー・ソングライターのババカヲルコさんの3人。日本では政治や社会に対して積極的に声を上げるアーティストは多くはないが「社会運動と表現活動との壁を取っ払いたい」と昨年から活動を始めた。
今年4月10日、女性の参政権行使78年を記念し、上智大(東京)で開かれたイベントにも出演した。石川さんが主に作詞、ババさんが作曲した「踊ろう女たち」を振り付けを交えて歌った。
悲しい連鎖は終わり
暴力もレイプも終わり
わきまえることももうやめて
明るい響きのメロディーに、真っすぐな言葉を乗せたのは「暴力への抗議をちゃんと伝えたかったから」。内容は石川さんの経験にも基づく。
2019年に#KuToo運動を始めた後の22年2月、ブログで、映画監督からかつて受けた性暴力被害を告発した。
キャスティングを理由に性行為を求められ、断ることができなかった。立場ある人からの同意のない性暴力だったと気付くには、何年もの時間がかかった。心的外傷後ストレス障害(PTSD)のほか、発信に対する誹謗中傷にも苦しめられたが、フェミニズムを学び、性差別に反対する運動に力を得て「自分の言葉で話せるようになった感覚がある」。
日常的に受けるハラスメント、埋まらない男女賃金格差、一向に増えない女性国会議員…。ジェンダー・ギャップ指数が125位(世界経済フォーラム公表)に沈む日本の「変わらない政治」にへきえきし「こんなものだろうと諦めてしまっている人も多いのでは」とみる。だからこそ楽しみながら社会運動に取り組みたいと、好きな歌を歌うことを選んだ。
3月末、東京・池袋駅周辺で開かれた集会でも、3人は歌の最後に「わきまえるのは嫌だ」「マッチョな政治は嫌だ」などと叫んで拳を突き上げた。石川さんは「フェミニズムや政治に興味のない人にも歌を届けたい。口ずさんでもらい、自分の生活と政治がつながっていることを理解してほしい」と話した。