【世論調査】岸田内閣、続く超低空飛行 裏金響き20%割れ目前
岸田内閣の支持率が共同通信世論調査で20%割れ目前となった。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件が政権にマイナスの影響を与え続ける。岸田文雄首相は局面を打開しようと、衆院政治倫理審査会の開催にこぎ着けたが、世論の厳しい視線はやまない。衆院3補欠選挙が4月に控える中、超低空飛行を余儀なくされる首相に反転攻勢の兆しは見えない。
▽怒り
「国民が裏金の説明を尽くさない安倍派幹部らに不信感を持っているのは間違いない」。自民ベテラン議員は10日、内閣支持率が2012年12月の政権復帰後、最低の20・1%になったと知るや思わずうなった。
衆院では、24年度予算案の採決とリンクする格好で、政倫審を2月29日、3月1日の2日間にわたり実施。首相と安倍、二階両派幹部が出席した。だが22年に安倍派がいったん廃止を決めた資金還流を復活させた経緯を含め、実態解明には程遠かった。
国民が納得していないのは明らかだ。世論調査で安倍派幹部らが「説明責任を果たした」と答えたのは、わずか4・1%。9割超が不満を持つ結果となった。裏金を受け取った議員に対し「税務調査を行うべきだ」との回答も94・5%に達した。
国民の怒りは内閣はもちろん、自民にも向く。自民の政党支持率は24・5%で政権復帰後、最低を記録した。安倍派幹部らに自ら離党や議員辞職を決断する姿勢もうかがえない中、裏金事件の幕引きは見通せない。
▽板挟み
昨年11月から5回連続で内閣支持率が20%台に沈み、窮地にあえぐ首相。自民支持層の内閣支持率も47・8%にとどまり、事態好転は容易ではない。当面の課題は安倍、二階両派幹部への党内処分となる。世論調査でも離党勧告などの「重い処分が必要だ」が77・3%に上った。次期衆院選に不安を抱える若手議員にも両派幹部への重い処分を求める声は根強い。
とはいえ重い処分を科せば、首相への反発が党内で拡大し、今年9月の総裁選で再選を狙う首相に対し「岸田降ろしを仕掛ける動き」(閣僚経験者)が生まれるリスクをはらむ。世論や若手議員らの意見を優先すべきか、権力基盤の安定を取るべきか―。板挟みの中で、首相は難しい判断を迫られる。
首相が「頼みの綱」(周辺)とする経済政策を巡っても、厳しい調査結果となった。身の回りの景気が上向いている実感の有無について「ない」「どちらかといえばない」は計87・9%に上ったからだ。
官邸筋は、日経平均株価が史上初めて4万円の大台を突破しても、物価高で長引く生活苦がなかなか解消されていないと指摘。「政権浮揚の道は険しい。どうしたらいいんだ」と天を仰いだ。