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【小林製薬紅こうじ問題】お家芸サプリ、落ちた信頼 専門家「過度な警戒不要」

 小林製薬は「熱さまシート」や「ブルーレット」に代表される個性的な製品を続々と投入する独自の戦略で知られる。漢方やサプリメントなど健康食品はお家芸とも言える分野だが、築き上げた信頼は「紅こうじ」の健康被害で地に落ちた。紅こうじそのものへの不安も広がる中、「古くから使われる成分で過度な警戒は不要だ」と指摘する専門家もいる。

小林製薬の大阪工場=27日夜、大阪市
小林製薬の大阪工場=27日夜、大阪市
小林製薬の大阪工場=27日夕、大阪市
小林製薬の大阪工場=27日夕、大阪市
小林製薬の大阪工場=27日夜、大阪市
小林製薬の大阪工場=27日夜、大阪市
健康被害問題で揺れる小林製薬
健康被害問題で揺れる小林製薬
小林製薬の主な製品(写真は同社HPより)
小林製薬の主な製品(写真は同社HPより)
小林製薬の大阪工場=27日夜、大阪市
小林製薬の大阪工場=27日夕、大阪市
小林製薬の大阪工場=27日夜、大阪市
健康被害問題で揺れる小林製薬
小林製薬の主な製品(写真は同社HPより)

 ▽小さな池
 「あのビジネスモデルは小林製薬しか実現できない。まねできない」と業界関係者は口をそろえる。競争が激しい巨大市場ではなく、小さくても新たな分野を開拓してトップシェアを目指す戦略のことだ。同社は「小さな池で大きな魚を釣り上げる」と掲げ、斬新なアイデアを競争力の源泉に成長してきた。
 小林製薬は1886年に創業した。社名に「製薬」と付くが、医療用医薬品は扱っていない。ドラッグストアで購入できる漢方やサプリ、衛生雑貨を主力とする。排尿時の痛みや残尿感に効果があるという漢方に「ボーコレン」と名付けるなど、ユニークな製品名と効能を端的に紹介するテレビCMで浸透した。
 今回問題となった紅こうじ原料の製造・販売は2016年、健康食品の事業拡大を狙って下着大手のグンゼから譲り受けたものだ。1940年操業開始の大阪工場(大阪市、昨年12月閉鎖)で生産していた。健康被害の原因は「意図しない成分」として調査を進めるが、死亡事例と行政処分により企業ブランドの危機に直面する事態となった。
 ▽過剰反応
 小林製薬の紅こうじを使用した食品の自主回収が続き、消費者の間には紅こうじそのものを忌避する動きもある。だが、関西学院大の藤原伸介教授(微生物工学)は「全てを不安視するのは過剰反応だ」と話す。
 東アジアでは紅こうじを使った食品を摂取してきた長い歴史があり、赤色を縁起物とする中国では特に好まれてきた。紅こうじ菌の中には有毒物質「シトリニン」を合成する遺伝子を持つものもあるが、食品として摂取する分には微量で、通常は問題ないという。
 さらに国内で使われる紅こうじ菌は、シトリニンを合成する遺伝子が機能する可能性が低いとされる。今回の被害は昨年9月以降に製造されたサプリに偏る。藤原氏は「この時期の培養条件が通常とは異なり、シトリニンに近い物質が作られた可能性はある」と推測。「サプリは成分が濃縮されるため、仮に微量でも毒性物質があれば摂取量は増えてしまう」とした。

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