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【米中首脳会談】打算の“7カ月休戦” トランプ氏に備え先手も

 米中首脳が電話会談し対話を続ける方針を確認した。11月の米大統領選まで約7カ月となる中、両国はそれぞれの思惑から「ひとまず休戦」(外交筋)を演出。トランプ前米大統領が返り咲いて対立が激化する事態に備え、中国はロシアや欧州、新興国に接近し着々と先手を打ち始めている。

バイデン米大統領(左)と並ぶ中国の習近平国家主席=2023年11月、米カリフォルニア州ウッドサイド(ロイター=共同)
バイデン米大統領(左)と並ぶ中国の習近平国家主席=2023年11月、米カリフォルニア州ウッドサイド(ロイター=共同)

 ▽余力なし
 「今後について話し合う良い機会だった」。カービー米大統領補佐官は2日の記者会見で、電話会談は具体的な成果よりも対話基調を再確認することに主眼があったと率直に認めた。
 バイデン米大統領は、昨年11月にサンフランシスコ近郊で中国の習近平国家主席と会談した際に合意した関係改善の流れを是が非でも維持したい考えだ。混迷が深まる中東やウクライナの情勢への対応に追われ、中国と競争する余力はない。
 中東では、イスラム組織ハマス掃討に向けイスラエルが攻撃を続け、パレスチナ自治区ガザの民間人犠牲者は増加の一途をたどる。ロシアのウクライナ侵攻でも、米政府の支援が滞りロシアの前進を許した。
 事態を制御できないバイデン政権に対しては国内外で不満が高まる。トランプ氏との再対決が迫る中、米政権にとって対中関係安定の重みは一層増している。
 ▽好機
 中国は米側の事情を見透かすものの、足元では経済が減速しており、対米攻勢に出る余裕はない。習氏はバイデン氏に「二つの大国は衝突せず、安定の道を前進すべきだ」と語りかけた。対話路線に持ち込み、立て直しを狙う戦略だ。
 トランプ氏当選に備えるしたたかさも見せる。習氏は今春、フランスなど欧州各国を歴訪する予定。ロシアのプーチン大統領のほか、ドイツのショルツ首相、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」から昨年離脱したイタリアのメローニ首相の訪中計画も報じられる。
 インドネシア次期大統領を中国に招請するなど東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国との連携も強化。「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国のリーダーとして振る舞う。米国が動けない現状を米欧主導の国際秩序を揺さぶる「好機」と捉え、足場固めを図っている。(ワシントン、北京共同=木梨孝亮、花田仁美)

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