事前に絞り込み「内見」も 春の部屋探しのポイント
春は進学や就職、転勤などで転居する人が増える季節。インターネット上で物件の情報に加え、居間やキッチンなど部屋の映像や3Dの間取りを閲覧できたり、オンラインで「内見」できたりと、部屋探しの利便性は向上している。物件を絞り込む際のポイントや注意点を専門家に聞いた。
住みたいエリア、家賃に、エアコンやオートロックの有無といった設備の条件…。検索サイトでは、多くの項目から希望に合う物件を探すことができ、家賃相場も掲載されている。地図を指で囲んでエリア指定ができる機能など、サイトやアプリによって違いもあり、上手に活用したい。
住宅情報サイト「SUUMO」副編集長の笠松美香さんは「入居時期や詳しい住所が明示されていないケースもある。不動産会社に直接問い合わせて絞り込むのがお勧めです」と話す。同サイトの調査研究機関が発表した2022年度の賃貸契約者動向調査(首都圏)では、見学した物件数は平均2・7件だった。
遠方の場合、オンライン内見を活用する手も。不動産会社のスタッフが物件に行き、スマホなどで部屋の様子を“中継”する形で、部屋からの景色を確かめたり、窓などの寸法を測ってもらったりすることも可能だ。
オンライン内見で契約を決める人もいるというが、専門家は「居住中で部屋の中が見られなくても、現地には行った方がいい」と口をそろえる。日当たりや騒音、臭いなどは快適に生活できるかを左右しかねない要素で、ネット情報では確認が難しいからだ。
女性の部屋探しを専門にサポートする「あつまる不動産 高円寺本店」の社長、小泉厚子さんは「部屋の中にばかり目がいきがちで盲点になるのが、『外からどう見えるか』。防犯上、絶対に気をつけたいポイントです」と断言する。道路からベランダや屋内が見えるかや、電柱や街路樹が目の前にないかなどに気をつけてほしいという。
最寄りの駅からの経路を歩き、街灯の有無など夜道の危険性にも注意を。「1人暮らしの女性の場合は特に、物件を気に入ったとしても、周辺環境で心配なところがあるなら考え直すよう勧めます。(都市部ならば)似た条件の部屋は必ず見つかりますから」。他にも、ごみ捨て場や駐輪場、廊下など物件の共用部の状態は、住人の生活スタイルが表れる部分で、要チェックだという。
安全面では、その場所に浸水や土砂崩れなどのリスクがないか、契約前にハザードマップも確認したい。笠松さんは「ネットでも閲覧できますが、もし見つけにくければ不動産会社の担当者に尋ねてみて。住む前に知っておくべき大切な情報です」と話している。