あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 読み応えあり

【政治とカネ】裏金処分、首相に難題 自民情勢と世論両にらみ

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に伴う内部処分を巡り、岸田文雄首相が難題に直面している。対象を広げ、重い処分を科せば、9月の党総裁選で再選を狙う自身の権力基盤が揺らぎかねない。とはいえ甘い対応だと国民の猛反発は必至だからだ。党内情勢と世論の両にらみで「政治とカネ」のけじめのつけ方を模索。党則改正と併せて幕引きを図りたい考えだ。

参院予算委で答弁する岸田首相=5日
参院予算委で答弁する岸田首相=5日
裏金事件の処分を巡る課題
裏金事件の処分を巡る課題
参院予算委で答弁する岸田首相=5日
裏金事件の処分を巡る課題

 ▽線引き
 「可能な限り早いタイミングで判断したい」
 連日、裏金事件の追及を受ける首相は5日の参院予算委員会で、処分時期に言及した。党則を改正する17日の党大会までに決着させ、区切りとするシナリオもささやかれる。執行部の一人は「ずるずる長引かせるのは政権運営にマイナス」と忠告する。
 焦点の一つが処分対象だ。党の聞き取り調査では、解散を決めた安倍、二階両派の85人が派閥パーティー収入の還流を受けたことが判明。うち32人は還流を「認識していた」と認めたが、残る53人のうち29人は「派閥からの指示」に基づき、政治資金収支報告書に記載しなかったと主張する。安倍派の若手は「十把ひとからげの処分は筋違い」と不満顔だ。
 ただ線引きは難しい。例えば2018年から5年間の還流額が500万円以下の人を対象外とすると、安倍派座長を務めた塩谷立元文部科学相も外れる。高まる安倍派幹部の責任論とは「逆方向」(ベテラン)になる。
 ▽リスク
 そこで浮上するのが安倍、二階両派の会長、事務総長経験者ら幹部を「3カ月以上、2年以下の党役職停止」や「選挙における非公認」とし、それ以外は「戒告」で済ませる案だ。大所帯だった安倍派議員をまとめて役職停止にすれば、党運営に支障を来すという事情もある。
 だが与野党からは「生ぬるい」(閣僚経験者)との声が早速出ている。日本維新の会の藤田文武幹事長は6日の記者会見で、新型コロナウイルス緊急事態宣言中に東京・銀座のクラブを訪問した自民議員3人が離党勧告処分となった過去に触れ「同等かそれ以上に重い」と当てこすった。
 立憲民主党の幹部も、還流額のトップ3に安倍派の萩生田光一前政調会長、二階派会長だった二階俊博元幹事長が入っていると強調。「軽い処分でいいのか」と憤る。
 しかし首相にとって、離党勧告や最も重い除名処分は、総裁再選に向けリスクをはらむ。萩生田、二階両氏を慕う議員は少なくなく、重鎮は「下手に重い処分にすれば意趣返しされるぞ」と指摘する。現に安倍派幹部は突き上げる。「岸田派も元会計責任者が立件されているのに、首相は何の処分も受けないのか。おかしいだろう」

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

読み応えありの記事一覧

他の追っかけを読む