企業は学生インターン活用を【経済トレンド】 沖ワークウェル堀口明子社長がメリット解説
今年も新入社員を迎える季節となりました。また同時に、来年度の採用活動が本格化する時期にもなりました。
近年、学生のキャリア形成を支援するインターンシップが注目されています。就業体験や職場実習とも言われますが、企業が取り組みを強化するとともに、参加学生も増えているようです。これは2022年6月に文部科学省・厚生労働省・経済産業省が合意した「インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方」の改正が関係しています。
今回の見直しでは、一定の基準を満たしたインターンシップで企業が得た学生情報を広報や採用選考活動に使用できるようになりました。2025年3月に卒業・修了する学生が、2023年度に参加したインターンシップから適用されています。
学生自らがキャリア形成を主体的に考えることは重要です。学業との両立が基本ですが、職場での就業体験を通して自分自身を理解し、適性を見つけ、自らのキャリアを考える機会となるインターンシップは役立ちます。体験しないとわからないことは多いはずです。学生時代の早い段階からインターンシップに参加することはとても有意義です。
一方、企業にとっては自社の魅力や職場の雰囲気、仕事内容を学生に伝える良い機会になります。入社後に生じるミスマッチを防げるかもしれません。しかしながら実施には受け入れ職場の協力・理解が欠かせません。特に中小企業では対応者が限られるなどの課題があり、実施に踏み切れないと思う方もいるのではないでしょうか。
当社は障がいのある人を雇用する100人弱の会社ですが設立当初から特別支援学校向けに職場実習を行っています。通いの生徒向けだけでなく、通勤が難しい生徒向けに自宅や学校にいながら職場体験ができる遠隔職場実習を実施しています。この活動は特別支援学校の先生から「会社訪問が難しい生徒に職場体験をさせたい」との要望に応えようとの気持ちで始めました。ほそぼそと続けてきましたが20年がたちました。「案ずるより産むがやすし」と言うように、より多くの企業がインターンシップに取り組んでほしいと思います。
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ほりぐち・あきこ 新潟市出身、津田塾大卒。沖電気工業で広報部長、人事部長、執行役員を歴任。2019年より同社特例子会社沖ワークウェル社長、2023年より日立造船取締役を兼職。