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【衆院政倫審】首相「裏金」弁明肩透かし 怒る野党、追及継続宣言

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会の初日は消化不良に終わった。完全公開の審査に尻込みする安倍派幹部に業を煮やし、2024年度予算案の3月中の成立にこぎ着けるため、現職首相として初の出席に踏み切った岸田文雄首相。意気込みとは裏腹に弁明は新味に乏しく、議論は盛り上がりを欠いた。肩透かしを食った野党は「幕引きさせない」と怒り、追及継続を宣言した。

衆院政治倫理審査会で立憲民主党の野田元首相(右)の質問を聞く岸田首相=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会で立憲民主党の野田元首相(右)の質問を聞く岸田首相=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会を終え、退室する岸田首相(手前)=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会を終え、退室する岸田首相(手前)=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会に臨む岸田首相=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会に臨む岸田首相=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会で弁明する岸田首相(左端)。右上は安倍元首相の肖像画=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会で弁明する岸田首相(左端)。右上は安倍元首相の肖像画=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会を終え、国会を後にする岸田首相(中央)=2月29日午後
衆院政治倫理審査会を終え、国会を後にする岸田首相(中央)=2月29日午後
2月29日の衆院政治倫理審査会のやりとり
2月29日の衆院政治倫理審査会のやりとり
衆院政治倫理審査会で立憲民主党の野田元首相(右)の質問を聞く岸田首相=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会を終え、退室する岸田首相(手前)=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会に臨む岸田首相=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会で弁明する岸田首相(左端)。右上は安倍元首相の肖像画=2月29日午後(代表撮影)
衆院政治倫理審査会を終え、国会を後にする岸田首相(中央)=2月29日午後
2月29日の衆院政治倫理審査会のやりとり

 ▽当てこすり
 「後手に回って的外れな対応をしなければいけない事態になったのは、首相の指導力の問題だ」。29日、衆院第5委員室。立憲民主党の野田佳彦元首相は、政倫審を巡る自民の迷走は首相に原因があるとただした。
 対する首相は、09年7月の衆院政倫審をあえて持ち出した。立民の源流となる民主党の鳩山由紀夫代表(当時)が、自らの政治資金虚偽記載問題を巡り開かれた審査を欠席した過去だ。首相は「政倫審は本人の意思を尊重するのがルールだ」と当てこすった。
 しかし首相が強気をのぞかせたのはこの一瞬だけだった。その後は、首相就任後も「勉強会」と称して開催した自身の政治資金パーティーを巡りやり込められる。
 野田氏は「ウクライナ侵攻や知床遊覧船事故後もパーティーを開くのはおかしい」と主張し、首相在任中のパーティー禁止を要求した。いったんは「適切に判断する」とはぐらかした首相。納得のいかない野田氏は「まだ開催しようとしているのか」「もう開かないと明言できないのか」と畳みかける。首相は渋々「在任中は開くことはない」と言質を与えた。
 ▽まるで人ごと
 「安倍派の裏金づくりがいつ、誰の指示で始まったのか把握しているのか」。日本維新の会の藤田文武幹事長は、裏金事件の実態を尋ねた。自民の聞き取り調査では「判然としない」と結論を濁していたためだ。
 だが首相は「十分に確認できていない。さまざまな場で関係者の説明が続けられなければならない」とまるで人ごとのような答弁でかわした。
 共産党の穀田恵二国対委員長は、22年に安倍派で還流をやめる方向となったのに復活した背景の説明を求めた。ここでも首相は「十分確認できなかった」と述べる程度。穀田氏は「証人喚問で事実を問い詰める以外にない」と予告した。
 「ノルマを超えたら還付される制度自体、知らなかった」。首相に続いて出席した二階派の武田良太事務総長は、会長の二階俊博元幹事長を擁護する発言を重ねた。目立ったやじも、驚くような新事実も飛び出さないまま、初日の政倫審は約3時間で終わった。
 ▽単なるポーズ
 果たして裏金事件の闇は少しでも晴れたのか。首相との対峙を終えた野田氏は「予算委員会と同じような答弁だ。要はポーズだけの率先垂範だ」と憤まんやる方ない。
 身内の自民からも不満は漏れる。重鎮は前もって「これまでと同じ答弁では批判されます」と首相に忠告した。にもかかわらず目新しさはなく、見せ場はほぼゼロ。ベテランは「せっかく身を切って舞台を整えたのにもったいない」と惜しむ。
 2日目となる3月1日の政倫審には、裏金事件の当事者である安倍派幹部4人が出席する。3月中の予算成立が確実となる3月2日までの衆院通過期限が迫る中、立民の泉健太代表はくぎを刺す。「首相出席の目的が、予算審議を強行するための環境整備だなんてあってはならない」

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