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【ガザの死者3万人超に】5カ月弱で異例の死者数 見えぬ休戦、飢餓迫る

 昨年10月7日に始まったイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘によるパレスチナ自治区ガザの死者が、5カ月足らずで3万人を超えた。死者数は異例のペースで増え続け、専門家はガザの人口約220万人を考慮すると、ロシアのウクライナ侵攻や、イラク戦争よりも被害は甚大だと指摘する。戦闘休止が見通せない中、50万人超に飢餓の危機も迫っている。

2月28日、パレスチナ自治区ガザ中部で破壊された建物を捜索する住民(ゲッティ=共同)
2月28日、パレスチナ自治区ガザ中部で破壊された建物を捜索する住民(ゲッティ=共同)
2月28日、パレスチナ自治区ガザ中部で、けがをして病院に運ばれた子ども(ゲッティ=共同)
2月28日、パレスチナ自治区ガザ中部で、けがをして病院に運ばれた子ども(ゲッティ=共同)
ガザ死者数の推移
ガザ死者数の推移
2月28日、パレスチナ自治区ガザ中部で破壊された建物を捜索する住民(ゲッティ=共同)
2月28日、パレスチナ自治区ガザ中部で、けがをして病院に運ばれた子ども(ゲッティ=共同)
ガザ死者数の推移

 ▽集中砲火
 「(狭いガザ地区に)短期間に浴びせられた集中砲火の規模にはがくぜんとしている」。世界の紛争の戦死者を調査している英ロンドン大のマイケル・スパガット教授は語った。
 教授によると、人口10万人当たりの推計では、ロシアの侵攻を受けたウクライナの最初1年間の死者は1日0・55人、イラク戦争では開戦から6週間のイラクの死者は1日1・1人だったが、ガザでは1日9・1人(2月中旬時点)が死亡しているという。
 ガザの死者数は、イスラエル軍がガザ北部の包囲作戦を進めていた昨年11月6日に1万人を上回り、ガザ南部に攻勢を強めた12月20日に2万人を超えた。ペースは12月より鈍化しているが、依然として速い。
 イスラエルはハマス管理下のガザ保健当局による死者数の発表には信ぴょう性がないと主張するものの、世界保健機関(WHO)の幹部は信頼に足る数字だと指摘。ガザ保健当局は戦闘員と民間人を区別していないが、7割が女性と子どもとされ、多くの行方不明者ががれきに埋まったままとみられている。
 ▽封鎖長期化
 「飢えと渇きで死にそうだ」。北部ガザ市のアブイスマイルさん(42)が電話取材に困窮する現状を打ち明けた。戦闘開始前に75キロだった体重は60キロに落ちたという。
 イスラエルは戦闘開始直後にガザの「完全封鎖」を宣言。食料など物資搬入の厳しい制限が長期化している。国連によると、ガザ人口の約4分の1に当たる「57万6千人が飢餓の一歩手前」の状態だ。
 地上侵攻で大きな被害を受けた北部は食料不足が特に深刻化し、住民はパンや水の入手が困難な状態が続く。アブイスマイルさんは「戦闘を早く終わらせてほしい。それだけだ」と訴えた。
 イスラエル軍が地上侵攻の準備を進める最南部ラファには避難民ら約150万人が密集して暮らす。南部ハンユニスから避難してきたサッターリさん(47)は「攻撃から逃れても空腹に苦しめられる。3万人が死んでいるのになぜ国際社会はイスラエルを止められないのか」と憤った。(イスタンブール、カイロ共同=橋本新治、勝井潤)

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