こんにゃく、主役目指す 低カロリー売り、海外へ 麺、ライス…七変化
地味なイメージのこんにゃくが主役の座を目指し、七変化を遂げている。カロリーが低いダイエット食品として注目され、麺などに姿を変えて海外へ進出。こんにゃくを手作りできるテーマパークは幅広い層から人気を集め、白米代わりの「こんにゃくライス」の開発も進む。おでんや煮物、豚汁に入れられる脇役というイメージは過去のものになりつつある。
「低カロリーだから、いくら食べても罪を感じない。家計にも優しい」。こんにゃくダイエットに励む福岡市中央区の会社員藤田美奈さん(54)が笑顔で語る。
15年ほど前、アトピー性皮膚炎に悩む長女(22)のため、効果があると耳にしたこんにゃく料理を作り始めた。レパートリーの多さと飽きにくい食感から、次第に食卓に上る頻度が増加。数年前からは自身のダイエットのために「ステーキ」や「刺し身」も手がけるように。おかげで約2年半で体重が15キロも減ったと明かす。
こんにゃくの手作り体験や、こんにゃく料理の無料バイキングが楽しめる「こんにゃくパーク」(群馬県甘楽町)も人気だ。
パークを運営するヨコオデイリーフーズ(同町)によると、バイキングに2時間待ちの行列ができたことも。2024年秋までに敷地を拡張する計画で、年間150万人の受け入れを目指す。
愛知県稲沢市の食品メーカー「ナカキ食品」は7年ほど前から、看板商品の一つである「こんにゃく麺」などを海外に輸出している。韓国ではこんにゃくと玄米の入った「こんにゃく米」が年間約600万パック売れるなど、人気商品となった。
国内の消費拡大にも力を入れ、昨年11月には名古屋文理大(同市)で特別講義を開催。中村寿和社長(70)は「においは独特なのに味はないというこんにゃくのイメージは過去のもの。若い世代にもこんにゃくの魅力を知ってほしかった」と狙いを語る。学生からは「糖質はどの程度か」「海外ではどんな商品が人気か」といった質問が上がったという。
同社では、糖尿病などにかかり、糖質を制限せざるを得ない人向けに白米の代わりとなる、こんにゃくと白米を混ぜた「レトルトご飯パック」の発売を計画。全ての粒をこんにゃくから製造する「こんにゃくライス」の開発も進んでいる。
中村社長は「世界の主食にしたい」と意気込んでいる。