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中国海警150隻体制 現状変更、強まる懸念 日中、尖閣でせめぎ合い

 中国海警局が艦船約150隻の実動体制を始動させた。2014年までに大型巡視船の隻数で日本を抜き、その差は拡大するばかりだ。沖縄県・尖閣諸島を日本が実効支配する現状を、中国が軍事活動の活発化により変更する懸念が強まる。周辺海域は双方の船舶がせめぎ合い、偶発的な衝突の危険性も高まっている。

沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域を航行した、76ミリ砲を搭載した中国海警局の艦船(第11管区海上保安本部提供)
沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域を航行した、76ミリ砲を搭載した中国海警局の艦船(第11管区海上保安本部提供)
日本の巡視船と中国海警船の数
日本の巡視船と中国海警船の数
沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域を航行した、76ミリ砲を搭載した中国海警局の艦船(第11管区海上保安本部提供)
日本の巡視船と中国海警船の数

 緊迫
 「(海警局船は)自国の管轄海域で法執行活動をしている。日本側にあれこれ言う権利はない」。海警局の報道官は1月30日、尖閣周辺で同日に海洋調査を実施した沖縄県石垣市の調査船に警告を出し、追い払ったと誇った。
 中国海警局の4隻は同日、調査船の動きに合わせ相次いで日本の領海に侵入。調査船の護衛に当たった日本の海上保安庁とにらみ合った。日中双方が尖閣は自国の領土だと無線で主張をぶつけ合い、緊迫した雰囲気に包まれた。
 逆転
 日本政府関係者は「中国は量で日本を圧倒する。尖閣周辺で保たれていたパワーバランスが完全に失われてしまった」と危機感を強める。
 12年時点で日本保有の巡視船は51隻で、中国の40隻に対し優位を保っていた。ところが、同年の日本による尖閣の国有化以降、中国が大幅に装備を増強。14年に82隻まで増やして日本を抜き、現状では2倍超となった。
 22年は、尖閣周辺で中国海警局の船が確認された日数が計336日に上り、12年以降で最多となった。中国の国際政治学者は、じりじりと侵入して最終的に併合する「蚕食鯨☆(蚕の虫が口)」という中国の成語を引き「少しずつ日本の実効支配を崩していくのが最も賢いやり方だ」と中国側の狙いを解説する。
 暗雲
 尖閣周辺の領海外側の接続水域では昨年7月、中国軍艦が航行。16年6月に初めて尖閣周辺の接続水域を航行して以降4回目で、軍事活動の頻度を増やしている。岸田文雄首相は今月1日の衆院予算委員会で、中国の軍事活動を踏まえ「日本は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中にある」との認識を示した。
 日本の防衛省関係者は「国際社会では誰もが力の信奉者だ。弱肉強食が国際政治の冷徹な現実だ」と指摘した。尖閣における日本の実効支配は暗雲に覆われつつある。(舟山、那覇共同)

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