あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 読み応えあり

公共メディアが政党から資金受領 信頼回復へCLP活動再開 識者「運営の透明性を」【大型サイド】

 「公共のメディア」を掲げインターネットで報道番組を配信してきた「Choose Life Project(CLP)」が、立憲民主党からの資金提供を公表していなかった問題の発覚から1年。公正さの根幹を揺るがすとの批判を受け運営者は一時配信を休止した。外部調査を経て「より良い社会をつくりたい」と昨秋から活動を再開。識者は信頼回復には「運営の透明性を示すことが必要」と指摘する。

取材に応じるCLPの佐治洋氏=18日、東京都港区
取材に応じるCLPの佐治洋氏=18日、東京都港区
CLPを巡る経過
CLPを巡る経過
取材に応じるCLPの佐治洋氏=18日、東京都港区
CLPを巡る経過

 CLPは2016年にテレビディレクターだった佐治洋氏らが、地上波で扱われづらいが重要なテーマを取り上げようと立ち上げ、政治や社会問題を国会議員や有識者らが議論する番組などを配信。問題は昨年1月、出演者でもあったジャーナリストの津田大介さんらが「特定政党から番組制作に関する資金提供を受けていたことは報道倫理に反する」と抗議文を出し発覚。当面の配信休止と外部専門家に調査を依頼すると発表した。
 昨年7月公表の調査報告書によると、資金提供は、配信の増加や佐治氏が番組制作会社を退職したことからスポンサーを探すことになり、20年4月に佐治氏が福山哲郎立民元幹事長に依頼したことが契機。フェイクニュースの多さに危機感を覚えていた福山氏が問題意識に共感し、広告会社などを通じた提供が決まった。総額は約1500万円に上るとみられる。
 一方、CLPは同年5月の検察庁法改正案を巡る配信が注目されたことなどから、視聴者の支援を受ける形での番組制作を目指すことに。7月から「公共メディアを目指します」としてクラウドファンディングを実施。「手弁当で運営してきた」ともアピールし、9月までに3100万円超を集めた。立民の支援を受けた期間と一部重なるが、説明はなかった。
 佐治氏は調査に「お金を出してくれるなら自民党でも公明党でも共産党でもどこでもという気持ちで、性質について深く考えていなかった」などと説明。報告書は「報道に関わる者が有すべき職業上の倫理観を完全に欠如していたと言わざるを得ない」と断じた。
 CLPは昨年9月末、「過ちを背負い、活動を続けることで責任を果たしたい」とし、当初表明していた佐治氏の辞任も撤回。有識者をアドバイザーに迎えるなどの再発防止策を講じた上で、配信を再開した。
 佐治氏は取材に「組織づくりも報道についても『イロハのイ』も分かっていなかった」と認識の甘さを認めた。ただ、立民を利する目的はなく、今後も必要に応じて与党議員の出演も検討するとして「対話や議論の場をつくりたいという思いは変わらない」と信頼回復に努める考えを示した。
 情報化社会に詳しい大屋雄裕慶応大教授はCLPの対応について、アドバイザーの選任過程やどのような提言を受けたかの説明が不十分だと指摘。「『頼みやすい人に頼んでいるだけではないか』などと疑念を持たれれば信頼は得られない。体制の透明性を高めることが重要だ」と話した。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

読み応えありの記事一覧

他の追っかけを読む