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米議会襲撃 「大統領の犯罪」認定 共和は年明け反転攻勢

 昨年1月の米議会襲撃を調査する民主党主導の下院特別委員会は19日、共和党のトランプ前大統領を刑事訴追するよう司法省に求めることを決めた。最終報告書では、トランプ氏の「犯罪」だったと認定。一方、来年1月発足の新議会で下院多数派を握る共和党は2024年大統領選を見据え、バイデン大統領の息子の疑惑を追及して反転攻勢を仕掛ける構えだ。

焦り
 「米国の権力に対する反逆であり、連邦法の重大な違反だ」。特別委メンバーのラスキン議員(民主党)は19日、最後の公開会合となった特別委で、トランプ氏の刑事責任は明白だと訴えた。
 特別委は約1年半かけて、前政権高官を含む約千人から聞き取り調査を実施。トランプ氏が20年大統領選の敗北結果を覆すため支持者を扇動し、議事堂乱入につながったと結論付けた。
 特別委メンバーのチェイニー議員(共和党)は「最も恥ずべき発見は、トランプ氏がテレビで暴動を傍観していた事実だ」と非難した。共和党からもトランプ氏を突き放す声が上がり、同党上院トップのマコネル院内総務は「全国民が、あの日の責任は誰にあるのか知っている」との声明を出した。
 「でたらめな告発」と憤るトランプ氏だが、焦りも透ける。24年大統領選の共和党候補選びを想定した今月の世論調査では、若手ホープの南部フロリダ州のデサンティス知事支持が52%で、トランプ氏支持の38%を大きく上回った。
 ウォーターゲート事件で証言したニクソン政権の大統領法律顧問ジョン・ディーン氏は、トランプ氏の前大統領の肩書や出馬表明は「法廷では意味をなさない」と断言する。

報復
 司直の手が迫る一方で、特別委の調査が世論に与えた影響は限定的だ。
 10月の世論調査では、調査が始まった後にトランプ氏への見方を変えたと回答したのは8%のみ。責任追及を訴える民主党と、政治的な動きだと反発する共和党の党派分断の構図は変わらない。
 共和党が「報復」の標的として狙うのは、中国やウクライナの企業から多額の報酬を受け取っていたとの疑惑がくすぶるバイデン氏の次男ハンター氏だ。
 「次の議会ではこの問題に集中する」。共和党のコーマー下院議員は11月の記者会見で、バイデン一家の調査に全力を挙げる考えを示した。ハンター氏を税法違反容疑などで捜査する連邦検察が訴追に必要な証拠を確保したとも報じられる。バイデン氏も24年大統領選で再選出馬をうかがっており、両党の駆け引きは激化する。(ワシントン共同=高木良平)

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