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少子化対策73%期待せず 支援金徴収 反対58% 全国世論調査

 静岡新聞社加盟の日本世論調査会が16日まとめた少子化に関する全国郵送世論調査によると、岸田政権の「次元の異なる少子化対策」に「期待しない」「あまり期待しない」と答えた人は計73%に上った。財源確保のため公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」に「どちらかといえば」を含め反対が計58%、賛成は計41%。支援金に関する岸田文雄首相の説明に「納得できない」と「あまりできない」は計81%だった。

岸田政権の少子化対策
岸田政権の少子化対策

 赤ちゃんの生まれた数は2022年に初めて80万人を割り、23年は一段と減少。政府が児童手当拡充を柱とした少子化対策関連法案の今国会成立を目指す中、効果や説明に懐疑的な人が多い実態が浮き彫りとなった。
 少子化に「危機感がある」は「どちらかといえば」を含め計88%に上る。「日本は産み育てやすいと思わない」は計73%だった。少子化の主な原因(三つまで回答)は「子育てや教育にお金がかかる」が65%で最多。
 少子化対策に期待しない理由は「斬新とは思えない」が42%と最も多かった。「政策ごとの財源が決まっておらず実現できるとは思えない」が24%で続いた。一方、少子化対策に「期待する」「ある程度期待する」は計26%だった。
 支援金に関し、社会保障費の歳出削減などで「実質的な追加負担を求めない」との首相説明に、「納得できる」「ある程度納得できる」は計18%にとどまった。支援金の反対理由のトップは「保険料が増え、負担増になる」で36%。賛成理由は「少子化対策強化には負担増が必要」が最多の37%。
 少子化対策の財源確保を巡り、消費税などの増税で賄うべきかは「どちらかといえば」を含め反対が計79%だった。
 児童手当拡充に伴う所得制限撤廃は賛成43%に対し、反対56%。
 企業が育児と仕事の両立の環境づくりに取り組んでいるかどうかは「どちらかといえば」を含め計71%が否定的だった。企業が優先するべきこと(二つまで回答)は「男女ともに育休を取得しやすい雰囲気づくり」(43%)が多数を占めた。
 調査は1~3月、18歳以上の男女3千人を対象に実施した。

 少子化原因 子育て費用懸念が最多
 急速に進んでいる少子化の主な原因(三つまで回答)を尋ねたところ、教育費を含め子育てにかかる費用を挙げる人が65%と最も多かった。子育て世代に当たる若年層(30代以下)は、不安定な雇用や低い賃金を懸念する傾向が強いこともうかがえる。
 少子化の原因は「子育てや教育にお金がかかる」(65%)のほか、「結婚年齢が高くなる『晩婚化』や『未婚化』が進んだ」(54%)「雇用が不安定だったり、賃金が上昇しなかったりする」(51%)が半数を超えた。
 他は「子育てより仕事優先の企業風土や雇用環境が残る」「子どもを預ける場所が不足している」「核家族化が進み子育てを助けてくれる親族が身近にいない」が、いずれも21%だった。
 年層別に分析すると、「お金がかかる」と答えた若年層は76%に上るのに対し、中年層(40~50代)は66%、高年層(60代以上)は57%。雇用や賃金を選んだのも若年層は60%で、54%の中年層、42%の高年層より高かった。
 若年層が理想とする子どもの人数は2人が56%と最も多く、3人が24%で続いた。他は0人が8%、1人が7%、4人以上が4%。厚生労働省によると、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は2022年に1・26となり、05年と並び過去最低だった。経済的な不安から結婚や出産をためらう人も多いとみられる。

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