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社説(3月13日)自転車違反反則金 利用者は意識改めよう

 政府は自転車の交通違反に反則金納付を通告できる交通反則切符(青切符)制度を導入する道交法改正案を閣議決定した。対象は16歳以上で、反則金額は原動機付き自転車(原付)並みの5千~1万2千円を想定する。車と同じように反則金を納めずに起訴されて有罪になった場合は刑事罰を科される。改正法案は今国会での提出を目指す。
 自転車なら多少の違反は許されるという考えは通用しなくなる。ルール無視の走行が引き起こす重大な事故が相次いでいる。新制度導入を機に、自転車を利用する際は危険な存在になり得ると意識を改める必要がある。
 自転車関連事故は大幅に減っているものの、自転車と歩行者の事故は増加傾向にある。警察庁によると、2022年に発生した死亡・重傷事故7107件のうち7割以上で自転車側にも違反が確認された。警察が取り締まりを強化した結果、22年の摘発件数は2万4千件以上と10年前の約3・4倍に増加したが、重大事故は後を絶たなかった。反則金導入はやむを得ない。
 現在、悪質性の高い違反には起訴が前提となる交通切符(赤切符)を交付している。軽微な違反は指導や警告にとどめていたが、110種類以上の違反行為を青切符交付の対象にする。事故につながりやすい「信号無視」「指定場所一時不停止」、走行中にスマートフォンを使用する「ながら運転」などを重点的に取り締まる。
 特に車で厳罰化された「ながら運転」には自転車でも厳しく対応する。実際に危険を生じさせた場合は赤切符の対象となり、懲役、罰金という刑罰を新設する。自転車に乗ったらスマホは操作しないという意識を徹底させたい。
 実際の運用では、違反が確認されても直ちに青切符を渡されるわけではない。警察官の指導や警告に従わなかったり、歩行者に具体的な危険を生じさせたりと悪質性が高い場合が対象になる。取り締まりは、各警察署が選定する重点地区や路線を中心に、利用が多い朝や夕方の時間帯に重点を置くという。
 改正法が成立すれば公布から2年以内、ながら運転は6カ月以内に施行する。大きなルール変更だけに周知にも力を注がなければならない。重大事故を減らすには努力義務となったヘルメット着用の促進や自転車専用通行帯の整備も欠かせない。
 静岡県警によると、県内で昨年起きた自転車事故のうち高校生が4分の1を占めた。青切符対象外の中学生以下でも重大事故を起こす恐れがある。被害者にも加害者にもならないために、学校や家庭で交通ルール順守の大切さを改めて教えてほしい。

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