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テーマ : 清水エスパルス

静岡県内Jクラブ明暗 磐田と清水、紙一重の差【追跡2023⑤完】


 今季サッカーJリーグ2部(J2)から同1部(J1)への復帰を目指した県内2クラブは明暗が分かれた。ジュビロ磐田は最終節での大逆転で2位に滑り込み自動昇格。最終盤に失速した清水エスパルスは4位でプレーオフ(PO)の末、昇格を逃した。差は紙一重だった。
静岡ダービーで対戦した磐田と清水。今季は最終盤で明暗が分かれた=10月7日、静岡市清水区のIAIスタジアム日本平(写真部・久保田竜平)
 磐田の逆転昇格は補強禁止のハンディを逆手にとった現有戦力のフル活用が原動力だった。今季就任した元日本代表コーチの横内昭展監督(56)は選手の適性を見極め配置転換を行い、夏場の連戦では実質2チームを編成して11戦負けなしで乗り切ってチームを軌道に乗せた。最後まで一戦必勝の態勢を崩さず、最終節でもPOを見据えて控え選手を磐田に残して練習させた。そのメンバーを思い、自動昇格を決めた直後のインタビューで涙を流した。
 ただ、そのチームもJ1を戦う上で更新が必要。強化責任者の藤田俊哉スポーツダイレクター(52)は来季に向けた補強をする上で「優勝を争うクラブに見られていない」と国内有望株の獲得に苦戦している様子だ。直近5年の3年間をJ2で戦う「エレベータークラブ」の現実を突き付けられている。来季は7得点の後藤啓介選手(18)が海外移籍し下部組織からの昇格もいない。今後の補強の進展に注目が集まっている。
 J2では群を抜く強化費を投じ、1年でのJ1復帰を掲げた清水。「タレント集団」と称されたが、最終節、PO決勝と大一番で勝ちきれず、昇格をつかみ損ねた。クラブ史上初の2季連続J2が決定し、Jリーグ発足時から加わる「オリジナル10」の名門はかつてない危機を迎えている。
 低迷の責任を取る形で、チーム編成トップの大熊清ゼネラルマネジャー(59)の退任が決定。今季途中に就任した秋葉忠宏監督(48)は来季も指揮を執ることが決まり、継続した戦い方で昇格を目指すことになった。ただ、再びJ2を舞台とすることで、選手の流出は避けられそうにない。
 2027年のJ1制覇を最終目標とした5カ年計画は昇格を逃したことで1年目の今季から頓挫した。しかし山室晋也社長(63)は「目標は変わらない」と言い切る。来季はクラブにとって、復権の道を歩めるかどうかの分水嶺(れい)の1年となりそうだ。
 (運動部・名倉正和、市川淳一朗)

 <メモ>昨季、清水エスパルスとジュビロ磐田が初めてそろってJ2に降格。今季はともに昇格争いを演じた。磐田は最終節で2位に入りJ1自動昇格。清水は、勝てば自力での昇格が決まる最終節を引き分けて4位に転落。プレーオフ決勝に臨み、3位東京ヴェルディに及ばなかった。来季は清水と藤枝MYFCがJ2、アスルクラロ沼津がJ3で戦う。

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