⚽清水エスパルス・山原怜音 完全復活期す若きSB いざ秋の陣【しずスポ】
昇格争いの佳境を迎えたJ2清水のピッチに、頼もしい若手が戻ってきた。左足のかかとの負傷で2度にわたり離脱し、苦しいシーズンを送っていたDF山原怜音(24)。プロ1年目の昨季に大きなインパクトを残したホープが、J1復帰を目指すチームをさらなる上昇気流に乗せる。 2度の故障離脱 乗り越えて
8月12日のリーグ第30節山口戦。定位置の左サイドバックに、背番号2が立った。約4カ月半ぶりとなるリーグ戦出場。持ち味の攻撃参加を随所に見せながら、けがの影響を感じさせることなく60分間、上下動を繰り返した。交代後に味方が均衡を破り、勝利。自身がピッチに立った試合は昨夏から白星に恵まれていなかったこともあり、「責任を感じていた。ほっとした」と本音がこぼれた。
昨季は高精度のキックやパンチ力のあるシュート、対面の相手を抜き去る技術を武器に、チーム最多タイのリーグ戦33試合に出場して2ゴール8アシストを記録。ルーキーながら際立つ存在感を放った。立場を新人から主軸へと変え、迎えた今季。3月の第6節群馬戦の試合中、シュートを打った際の踏み込みで左足に痛みが走った。診断結果は足底の腱(けん)膜などの損傷で全治8週間。自身初めてとなる長期離脱の日々が始まった。 チーム勝たせる 立ち位置に
苦難は続いた。6月7日の天皇杯で公式戦復帰を果たしたが、翌週の練習中に再び痛みが生じ、再離脱。完治の難しさに直面した。それでも「(最終盤の)昇格が懸かる試合でチームを勝たせる立ち位置になっていたい」と思い描き、前を向いて復帰への道を歩んできた。
山口戦からは5試合続けて出場中。セットプレーのキッカーでアシストも記録した。ただ、追求するのは良い時の自分の姿。「試合を通してチャンスを作れているか、ゴール前に入っているか」。自身の売りを発揮し続けるべく、さらなるパフォーマンスの向上を見据える。
30代が多くメンバーに名を連ねる今のチームにあって、数少ない20代前半の選手だ。「若手が先発組を脅かして試合に出て、活躍することがないと、レベルアップしていかない」。目標とする昇格へ、チームを押し上げていく自覚と気概に満ちている。
(市川淳一朗)
やまはら・れおん 1999年6月8日生まれ。京都府出身。静岡県東部に拠点を置くJFAアカデミー福島に中学から所属し、筑波大を経て2022年に清水に加入した。父親はプロゴルファー。