⚽サッカー元日本代表 岡崎引退へ 清水で大成「点取り屋」
サッカー元日本代表FW岡崎慎司(シントトロイデン)が今季限りで現役引退することが26日、発表された。ワールドカップ(W杯)で2ゴールを挙げるなど日本代表歴代3位となる国際Aマッチ通算50得点。チームのために体を張り続けたストライカーがスパイクを脱ぐ決意を固めた。
「ダイビングヘッド」代名詞 身長175センチで体格に恵まれているわけではなく、飛び抜けた技術や他を圧倒するほどの速さがあるわけでもない。2005年の清水加入直後は「FW8人中8番目」の評価。だが、攻守で労を惜しまぬ姿勢とゴール前での卓越した得点感覚を武器に大成し、日本代表歴代3位となる50ものゴールを積み上げた。
小学生のころからヘディングを磨き、指導を受けたコーチからは「一生ダイビングヘッド」の言葉を贈られた。泥くさいプレーをいとわないストライカーにとって、ダイビングヘッドは代名詞になった。
ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の切符をつかんだ09年6月6日のウズベキスタン戦での得点は持ち味が詰まっていた。後方からの浮き球に抜け出すと、左足でシュート。GKにはじかれても、倒れ込みながらこぼれ球を頭で押し込んだ。代表最後の得点は17年3月28日。右クロスに体を投げ出してのヘディングシュートは実に岡崎らしかった。
人懐っこい笑みを浮かべ、「岡ちゃん」の呼び名で親しまれる希代の点取り屋。W杯は10年南アフリカ大会と14年ブラジル大会で得点するなど、日本代表を長く支えた。
欧州で確かな足跡 日本人FWの価値高める 過去から現在に至るまでMFやDFの活躍が目立つ「欧州組」の中で、岡崎は日本人FWの存在価値を高めた。特にドイツ1部リーグとイングランド・プレミアリーグでの8年半で屈強な相手と渡り合い、175センチの体を鍛え上げて自らの生きる道を切り開いた。
ドイツでシュツットガルトからマインツに移籍した2013~14年に、欧州五大リーグで日本人最多の15ゴール。大衆紙ビルトが選ぶリーグのベストイレブンに堂々と名を連ねた。翌シーズンも12得点と決定力の高さを証明。実績を買われ、29歳でイングランドのレスターに移籍した。
新天地では加入1季目にイングランド代表FWバーディーとの名コンビで「奇跡の優勝」に貢献した。リーグ戦は36試合5得点。ただ、数字には表れない献身的なプレースタイルが評価されて確固たる立場を築いた。
33歳でレスターを退団した後も欧州でのプレーにこだわり、スペイン2部リーグのウエスカでは12得点してチームの1部昇格に貢献。20年に念願のスペイン1部で初ゴールを決め、五大リーグのうち三つで確かな足跡を残した。