⚽静岡ダービー Ｊ２清水が１―０で磐田に勝利 自動昇格圏２位に再浮上
サッカーＪリーグ２部（Ｊ２）で清水エスパルスとジュビロ磐田が対戦する今季２度目の静岡ダービーが７日、静岡市清水区のＩＡＩスタジアム日本平で行われた。Ｊ１昇格に向けた両チームにとっての大一番は清水が１―０で磐田を下し、磐田と入れ替わってＪ１自動昇格圏の２位に再浮上した。清水のＭＦ乾貴士（３５）が決勝点を挙げた。
清水の勝ち点は６７で首位町田との勝ち点差は４。磐田は４位に転落して勝ち点は６５のまま。静岡県内３クラブが激突する三国決戦の最終戦だった。試合は静岡新聞社・静岡放送の総合メディアアプリをＰＲする「＠Ｓ＋（アットエスプラス）・シズサカマッチ」として開催された。
②アイスタ（清水１勝１分け）▽観衆１８８７１人
清水 １８勝１３分け７敗（６７） １（１―０ ０―０）０ 磐田 １８勝１１分け９敗（６５）
▽得点者【清】乾（９）
【評】清水が前半の得点を守り、磐田を完封で下した。序盤から互いの攻守が激しく入れ替わる展開の中、攻勢に出たのは清水。前半１５分の中山のシュートはわずかに枠を外れ、４分後のチアゴサンタナの決定機は磐田のＧＫ三浦に阻まれた。４１分、乾がペナルティーエリア手前から右足を振り、先制に成功した。
中盤の攻防が長く続いた後半は、終盤に磐田ペース。セットプレーを中心にゴールに迫ったが、清水の粘り強い守備をこじ開けられず。磐田はＤＦ２人をかわして迎えたジャーメインの前半２７分の逸機が痛かった。 戦う姿勢取り戻し攻守かみ合う 乾決勝弾 全員で粘りの守備 清水の選手、スタッフ、そしてサポーターの拳が試合終了の笛の音とともに一斉に突き上がる。宿敵を破り、３試合ぶりの白星。前節で明け渡したＪ１自動昇格圏の２位の座を再び奪い返した。
虎の子の１点を生み出したのはＭＦ乾だ。前半４１分、ペナルティーエリア手前左寄りに構えていた背番号３３の前にこぼれ球が来た。「コースは見えていなかったが、ダイレクトで打ちやすいボールだったので思い切った」。右足から放たれた低い弾道のシュートは相手の足に当たって軌道が変わり、ネットに吸い込まれた。
この最少得点をチームで死守した。前半からシュートブロックが光ったＤＦ鈴木ら守備陣だけでなく、最終盤は全員が自陣に下がってボール保持者に食らいついた。相手のセットプレー攻勢もことごとくはね返し、「しぶとく守れることを今日証明できた」と鈴木はうなずく。
前節藤枝戦で１５試合ぶりの黒星を喫し、今節に向けて見つめ直したのは本質の部分。この日のピッチには、戦う姿勢を前面に出すイレブンの姿があった。前線も労を惜しまず帰陣し、ピンチの芽を摘む。一人一人が懸命に走り、パスをつなぎ、攻守がかみ合った。
負ければ自動昇格から遠ざかる逆境を見事にはねのけた。３位との勝ち点差を２として残り４試合。「この位置を譲る気はないんで」。乾の言葉に、スタンドからひときわ大きな歓声が上がった。
（市川淳一朗） 宿敵に零封負け ４位に転落 磐田にとって秋風が身に染みる敗戦となった。勝てばＪ１自動昇格を大きくたぐり寄せられる清水との大一番。前後半にあった決定機を生かせず、宿敵に手痛い零封負けを喫して４位に転落した。
膠着（こうちゃく）状態が続いた前半終了間際。最も警戒していた清水のＭＦ乾に強烈な一撃をたたき込まれた。ＭＦ山田は「スペースが空いてＤＦと中盤のミスマッチを突かれた」と悔やむ。反撃に転じようとしたが、思うように組み立てができず「やりたいことをやれたとは言えない試合」と絞り出した。
ようやく訪れた試合終盤の押せ押せムードで元日本代表のＭＦ遠藤をキッカーとして投入した。６本続いたＣＫで１９１センチの後藤をターゲットにしたが、タイミングが合わず。最後まで５人で守る相手の最終ラインを崩せなかった。
９月２４日の岡山戦で膝を負傷し２試合ぶりにスタメン復帰した左サイドバックの松原は古巣との対戦に燃えていたが、やはり本調子とはいかなかった。「ふがいないプレーでチームを助けることができなかった」と悔しさを押し殺した。
自動昇格圏から陥落して自力での２位以内の可能性が消滅した。残り４試合のうち次節徳島、東京Ｖと前半戦で勝てなかった難敵が続く。「この一戦ですべて終わりではない。まだ十分チャンスはある」と横内監督。ここまで補強なしで奮闘してきた磐田が正念場を迎えている。
（名倉正和）
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