あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 編集部セレクト

NTT社長、地方切り捨て懸念「誤解」 固定電話の提供義務見直し巡り

 NTTの島田明社長(66)は16日までに共同通信のインタビューに応じ、NTT法に基づく固定電話サービスの全国提供義務見直しを巡り、人口の少ない地方の通信網が切り捨てられるとの懸念に対し「誤解だ」と述べた。携帯電話を軸にした方式に変更した上で「国内の津々浦々で使える仕組みにする」とし、NTTとして全国の通信網は維持すると明言した。

インタビューに応じるNTTの島田明社長
インタビューに応じるNTTの島田明社長

 高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムや6Gなど、先端技術による通信インフラ整備に注力した方が高品質のサービスを実現でき「国民経済にとってプラスだ」と指摘した。希望者は固定電話機を使い続けられるようにするとも説明した。
 通信サービスの提供義務のあり方は、政府が進めるNTT法見直しの最大の焦点となっている。NTTの固定電話の契約数はピークの2割程度に減り、年間600億円規模の赤字が続いている。
 島田氏は固定電話の回線設備について「地中に配線する土木工事が必要で、災害復旧にも時間がかかる」と語った。費用の観点から維持、更新は今後困難になるとした。
 NTT法見直しでは、NTT以外の企業も通信サービス提供義務を担うべきだとする意見が浮上している。ただKDDIやソフトバンク、楽天モバイルは経営の自由を奪うなどとして否定的だ。島田氏は携帯最大手NTTドコモの市場占有率(シェア)は既に35%程度にとどまるとし、各社に向け「重要インフラを提供する事業者の覚悟を持つべきだ」と訴えた。
 ドコモとNTT東日本、NTT西日本の統合観測については「公正競争の観点からその考えはない」と否定した。競合各社は統合を「NTTの肥大化」と警戒している。NTT法見直しでは、通信設備や光ファイバー網など多大な資産を持つNTTと、他社の競争環境も論点となっている。

 NTT法 1984年制定で、NTTに固定電話サービスの全国一律提供の責務などを課す法律。前身の日本電信電話公社から多くの資産を継承した公共性を考慮し、政府が株式の3分の1以上を持つことも義務付けている。外国人の株式保有を制限する条項もある。時代の変化を踏まえ、総務省は同法の見直しを進めており、今年夏にも最終報告をまとめる方針。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

編集部セレクトの記事一覧

他の追っかけを読む