テーマ : 編集部セレクト

川根本町議会、教育長人事不同意 義務教育学校開校、対立の代償大きく

 川根本町議会は22日、3月定例会の最終本会議を開いた。新教育長に同町のコミュニティスクールディレクター兼推進委員を務める石原一則氏(62)=同町崎平=を任命する人事案について、反対多数(賛成4、反対6、無効1)で不同意とした。
 任期満了に伴う山下斉教育長(63)の3月末で退任に伴い、旧中川根第一小校長を務めた石原氏に白羽の矢が立ったが、町は再考を迫られる結果となった。4月以降は当面の間、教育長不在となる。
 薗田靖邦町長は「議会と話し合い、早急に適任者を選定したい」と述べた。反対した中原緑議員は「(4月から開校する)義務教育学校を主導してきた山下氏を開校前に交代させる必要はない」と理由を語った。
 最終本会議では、委員会に付託した2024年度一般会計当初予算案など11議案を原案通り可決した。

 記者の目=義務教育学校開校 対立の代償大きく
 川根本町議会は3月定例会最終本会議で、教育長人事案を不同意とした。新たな教育長のもとで義務教育学校の開校を迎えたい町側と、継続性を重視する議員側の思惑が対立し、4月の開校を教育長不在で迎える可能性が高まった。
 義務教育学校は、町内の小中学校を統合して9年制の教育を実施し、小中の枠組みを超えた児童・生徒間の交流促進を目指す。教育長は町の総合計画・教育大綱に基づき、町の教育を推進する役割を担う。新たな挑戦を前に教育長不在となれば、町民の不安や影響は計り知れず、政治対立の代償は大きい。
 2022年3月には、議会から理解を得られず、開校に必要な予算が議会で認められないなどの曲折があった。急速に少子化が進む山あいの町にとって、人材育成の要ともいえる教育行政の停滞はあってはならない。子どもの教育への影響を第一に考え、冷静な判断を求めたい。
 (島田支局・白鳥壱暉)

いい茶0

編集部セレクトの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞