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浜岡原発 津波高、最終評価25.2メートル 南海トラフと海底地滑り連続発生想定

 原子力規制委員会による中部電力浜岡原発3、4号機(御前崎市佐倉)の新規制基準適合性審査で焦点の一つになっている「基準津波」(想定される最大津波高)の策定に関し、中電は13日までに、南海トラフ地震と海底地滑りが連続して発生した場合の敷地前面の津波高が、最大25・2メートルとなる評価結果を固めた。次回の審査会合に提示する。これまでの評価で最も高かった南海トラフ単独発生の22・7メートルから上振れする。規制委のヒアリング資料や中電への取材で分かった。
中部電力浜岡原発。中電は敷地前面の津波高が最大25・2メートルとなる「組み合わせ評価」の結果を固めた=2023年11月8日、御前崎市佐倉(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 中電、規制委に提示へ
 今後は規制委側が評価手法の妥当性を確認する。規制委が了承すれば、25・2メートルが基準津波に採用される。中電は基準津波決定後に、現状22メートルの防潮堤のかさ上げなど具体的な追加対策を打ち出すとみられる。
 浜岡原発の津波評価を巡っては2月の審査会合で、南海トラフ地震、海洋プレート内地震、海域活断層地震、海底地滑り、火山現象という発生要因ごとの個別評価が全て確定。中電はこれを受け、連続発生を想定した最終評価作業「組み合わせ評価」を、「南海トラフ地震と海域活断層地震」「南海トラフ地震と海底地滑り」の2通りで行った。
浜岡原発の基準津波策定に向けた審査(敷地前面の最大評価高)
 算定された25・2メートルは、最も厳しい条件の南海トラフ地震による津波と、その地震動が177秒後に到達して起きる遠州灘沖の海底地滑りによる津波が、敷地前面で重なり合うケースになる。取水槽地点の水位が最も上昇するのは南海トラフ地震と遠州灘の海域活断層地震を組み合わせた6・5メートル(1、2号機)~12・0メートル(5号機)となり、南海トラフ地震単独の評価を0・1メートル~0・3メートル上回る。
 中電は、建屋の強化扉・水密扉の設置や海抜40メートルの高台への電源設備の配備といった実施済みの多重防護対策により、津波が防潮堤を越えても「安全性に問題はない」と説明する。
 一方で、新規制基準は原発敷地を津波で浸水させない「ドライサイト」を原則的に要求していて、中電の林欣吾社長は今春の静岡新聞社のインタビューでドライサイト確保に向けて追加対策の検討を進める考えを明らかにしている。
 (東京支社・関本豪)

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