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テーマ : 編集部セレクト

おおらかな品位が包む街 東京・高輪【ぷらっとTOKYO】

 2020年に開業したJR山手線高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)の西側に広がる高輪は、宮邸などが並ぶ邸宅地でもある。ゆったりとして品のある都心の街を歩いた。
 駅で降りると、頭上に折り紙をイメージしたフレームで支えた白い膜状の大屋根が広がっていた。光が差し込む様子は障子を思わせ、木の温かみも感じられる開放的な空間だ。
 窓からは駅前に建設中の巨大ビル群が見え近未来的だ。構内の無人コンビニエンスストアに立ち寄った。ガムを手に取ると店内のカメラが商品を識別し、出口でタッチパネルに価格が表示された。
高輪消防署二本榎出張所=東京都港区
 駅を出て坂道を上ると一転して、昔ながらの風景が見えてくる。テーラーなどレトロな商店が並ぶ二本榎通りで、灯台のような建物が目に入った。1933年に建てられ今も現役の高輪消防署二本榎出張所だ。
 中に入ると、階段が曲線を描いて上へと続く。3階の円形講堂は8本の梁[はり]が天井中心に集まり、その間にアーチ窓が並んでいる。車庫には戦中から活躍した貴重な赤いポンプ車が展示してあった。
 通りを北へ進み、約2年前まで上皇ご夫妻の仮住まい先だった高輪皇族邸前に差しかかると、緑豊かな敷地から小鳥のさえずりが聞こえた。
 そのすぐ近くにあるのが和菓子の「松島屋」。高輪育ちの3代目店主文屋弘さんは「皇族の方は近所の子どもを大切にしてくれた。私たちは幼い頃、皇族邸の中でセミ捕りをして遊びました。おおらかで品がある街の雰囲気に豊かさを感じます」と笑顔を見せる。
 昭和天皇のお気に入りだったという豆大福は看板商品。ほど良い甘さのあんこをたっぷり使い、豆の歯ごたえと塩味のアクセントが絶妙だ。
 通りから細い路地を抜けた先に泉岳寺がある。歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」で知られる赤穂浪士の墓があり、忠義を貫いた義士たちに線香を供えようと、次々に観光客が訪れていた。
高輪かいわい

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